第18話 様子見
彼の機体はとても早かった。
機体自体のスペックはほとんど同じで速度も同じぐらいなのに対し彼はとても判断が早い。こちらの動きを前もって予測して、順序立ててこちらを攻めていた。
「こちらの動きがものすごい速さで読み取られている気分だ。」
「あいつめちゃめちゃに思考するのが早い。臨機応変に対応してくるのは難しいな。」
どんなアドリブであっても手足を動かすように機体を操作できれば初見の動きを強いてもひらりとかわしてくる。大変攻略するのが難しい相手だ。
「どうやって攻略するのかの手立てはあるのかしら?」
「うーん。なんともだな。こちらに考える時間を与えている時点で相手にかなりの余裕があるのを感じる。実際の機体の性能で何とか相手を上回るしかないかな。」
「結局いつもと同じじゃない。機体頼みのハイテクでアナログな戦法。うちらに一番合っているわ。」
とは言っても彼の反応速度は類を見ないレベルだ。ヘッドギアを使わないというだけはあるがどうやって接続しているのか。
確か俺のアイデアの中にエヴァンゲリオンのL.C.L.のような溶液に体を沈めてコネクトするというのがあったがおそらくそれだろう。溶液の中身とかは一切考えていなかったからそれもすべて開発したのはすごいな。
その後も何試合かするものの、こちら側には一切の勝ち目のない泥仕合がほとんどだった。ほとんどだったというのは何試合か惜しいのがあった。
オーナーやベテランの人たちはやはり操縦の練度が素晴らしく彼の判断にも追いつくほどの操縦を見せた。しかし彼らも一機の前には赤子も同然だった。
彼はいとも簡単に機体を操縦しつつ、次の手を考える余裕を見せた。こちらのパイロットは追いつめているつもりでも外から俯瞰して見るとみるみる不利な状況に陥っているのが明らかだった。
「やはり彼に対抗するにはうちのエースしかいないのか。」
「皆さんの試合を見て相手の手はおおよそ分かりました。ありがとうございます。」
「あいつらに敗北を味合わせてやれ!」
次は自分たちの番だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます