第13話 再始動

「だめだ。全然勝てない。」


 フィールドに通い始めて3か月、勝率は芳しくなかった。安定して勝つことができないのだ。


「足りないものと言われてもな。」

「機体の完成度はいいんだけど...。」


 休憩時間に仲間と話をしてみても判明しない。機体には自信を持てるし、操縦が悪いわけでもない。全く何がいけないのかさっぱりだ。


「でもまあ、スランプってあるから。」

「ありがとうございます。頑張ってみます。」


 自分は大学時代全く操縦をやっていなかった。一応は動かせるがそれは機体のテストの時程度で戦闘時の操縦は全くの別物だ。彼の才能にどれだけ助かっていたのかいまさらながら再認識した。


 さらに1か月がたち、いい加減勝ってもいい頃なのにまだ勝てない。なぜだ。そんな風に思いながら試合後のメンテナンスをしていたら、


「あんた自分のマシンの癖分かってなさすぎ!」


心の中を見透かされたような声が降ってきた。慌てて周りを見渡すと、


「女の子?」


ここのアウトローな雰囲気には似合わない年端も行かない女の子がいた。


「何よ、女がここにいたらいけないわけ?」


「いや別にダメってわけではないけど一応ここ違法な場所だし何より親御さんはどこなんだい?心配してるよ。」

「親ならあそこにいるわよ。」


そういって指さしたのはフィールドの受付を指さした。


「あーごめんね高橋さん。うちの子がもう長期休みでさ、どうしても連れて来いってうるさくて。」

「違法フィールド経営しているのになんで家族なんているんですか!?!?」

「実は大きな声では言えないんだけど、ここって国が黙認してるフィールドだから。問題があっても警察が取り上げないの。」


そんな無茶苦茶な話があってたまるか。国がそんなことをして何か利益があるのか。


「ってなわけで私がここにいる理由についてはいいわね?話を戻すとあなたの操縦、機体にあってないの。」

「機体にあっていない?」

「実際に対戦する方が早いわ。あなたはパパのマシンを使って。」

「ちょっと待ってよ。ほらシモンさんもなんか言ってくださいよ。」

「意外とうちの娘、機械の勘は鋭いからだまされたと思ってやってみてよ。」

「待ってくださいよおおおお。」


 文句を言う間もなく対戦がセットされてしまった。シモンさんのマシンは基本に忠実で誰が使っても等しくパフォーマンスを発揮してくれる。それに比べて自分のマシンはこだわり大量の操作は難しい部類に入る。本当に大丈夫だろうか。

「言っとくけど、手加減なんてしたらぶっ飛ばすからね!」

本人はああいってるしまあこの勝負久しぶりの勝利を味わわせてもらおうか。


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