第7話 二回戦
今度は場所を移して河川敷に移動する。機関銃からレーザに換装された機体を連れながらトラックに積み込み自分たちも乗る。装甲車をむき出しの状態では公道を走らせるのはあまりにも危険だし何より、
「兵器開発反対!」
「学生を戦争に巻き込むな!」
「こんなものにお金をかけるぐらいなら保育園幼稚園作れ!」
反対派がいる。
こいつらは万が一装甲車に遭遇しようものなら進路を妨害して当たり屋と化すんだから質が悪いったらありゃしない。
「ほらそこどきなさい。トラックが走れないでしょ!」
大会運営の男が顔を真っ赤にして放送している。まあトラックにしても妨害を食らう点では同じなんだが武装を積んだ装甲車と衝突するよりよっぽど安全ではある。
と一人思っていたら自分たちの乗っているトラックが急停車した。
「この国を戦争に巻き込もうたってそうはいかないよ!平和万歳!戦争反対!」
自分の祖母ぐらいの年の老婆が目の前に出てきて怒鳴り散らかしている。
「ほらそこのご婦人そこ危ないですよ。道をあけてくださいね。」
丁寧な物腰で運転手が応じているが相手は聞く耳を持たない。すぐに交通整理の係が着て強制的に進路を開けた。ある程度の物理的対処をする旨は事前に近隣に知らせているし、住民投票によって容認されて行われている。承認を受けているのだからやましいところなんて一つもないはずだ。
いろいろとトラブルに巻き込まれながらもなんとか会場にたどり着いた。今回の試合の形式は開放的な原野での戦闘を想定しているようで遮蔽物がほとんどなかった。
「今回は機体の機動性が存分に活かせそうだな。」
「だけど向こうの機体も機敏だったら長期戦になりそう。」
「無駄撃ちを少なくするよう意識しよう。」
模擬戦は予選をリーグ戦で、各リーグ6チームで上位2位が決勝に進出して合計10チームで優勝を競う。いつも自分たちのチームは予選は全戦全勝、トーナメントから本番といった感じでこの大会に参加してきた。
今回も例にもれず予選は全戦全勝。なんとも味気ない。周りのチームは自分たちに勝つのではなく2位争いの方に力を入れていた。強豪とリーグで当たらなかったのは強運といったところだろうか。
ほかのチームの試合の様子を撮ってもらった映像を見るとどこのチームも直線の速度に力を入れているらしい。確かに速度を上げれば戦場の主導権を握れるのは事実だが、まっすぐ進んでいるだけならわが大学が代々研究している偏差予測機能のいい的になるだけだ。おそらく自分たちと戦うときにはその戦法が役に立たないのは向こうも重々承知だろう。
という風にいろいろ考えていたらあっという間にすべてのリーグの試合が終わりトーナメントの抽選が始まる。どんなところが相手だろうと負けはしないだろうさ。
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