第27話 Fun memories you want to forget. 1

スイの過去編です。二話だけです。

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『君をもっと知りたいな』

 と、長い髪のが僕に言った。


 そのというのは、人称ではなく、ということだ。


 僕は彼女を愛していた。

 そして、彼女も僕を愛していたであろう。


 だが、その関係は長くは続かなかった。


 ►►►


 中2のある日、1学年上の先輩に僕は恋をした。世に言う一目惚れだ。


 僕が先輩に一目惚れした切っ掛けは、下校の時だった。


 僕はいつも通りに家へ歩いていた。そのとき、僕の通う学校の制服の先輩が公園にしゃがみこんでいた。


 僕は何にがあったのかが気になり近くによると、5歳くらいの男の子に話しかけていた。


 耳を傾けると。

「迷子になってしまったの?」

「お家はどこかわかる?」

「大丈夫だよ。お姉さんと待ってようね」

 などと、言っていた。


 要するに迷子になっている男の子を助けようとしていたのだ。そして、5分程でその男の子の母親が来た。

 その男の子の母親は、先輩に『ありがとうございます』と何度も頭を下げていた。


 先輩は、「困っていたら助けるのはあたりまえなので。」と笑顔で言った。


 僕はその笑顔に恋をした。


 それから、僕は先輩を意識するようになり、廊下ですれ違う度に目で先輩を追ってしまうようになっていた。


 そして、僕は思い切って告白をした。


 ダメだろうと思っていた。

 先輩は学校内でも人気だったから。


 そして、先輩は口を開いた。

 ダメだったら、ダメで一つの経験になるのでいいだろうと思っていた。


「考える時間が欲しいな」


 予想外だった。

 ダメ元だったため、保留でも嬉しかった。


「いい?」

「……はい」


 興奮で声が小さくなってしまった。


 その場から先輩がいなくなった瞬間に僕は、小さく拳を握った。


 それからの毎日、いつ返答がくるのかという、告白を受けてもらった楽しみと断られたときの絶望が要り混ざっていた。


 そして、その時がきた。


 先輩と二人きりの屋上。

 先輩と僕は向き合って、僕は返事を聞いた。


「君の事を知りたいなと思ってね。」

「………と、いうと。」


 恐る恐る聞く。


「おーけーだよ。」

「……え。」


 よっしゃー!!とは喜べなかった。

 困惑でいっぱいだった。


 あー頭真っ白だ。


「あれ、反応薄いな」

「い、いえ。嬉しすぎて頭が真っ白に…」

「君は面白いね。第一印象は面白い後輩だよ。」

「ありがとうございます?」

「敬語はやめてよ。付き合ってるんだし。」


 そう。僕は付き合ってるんだ。

 頭が真っ白の僕は僕に再確認をする。


「あっそうだ。」


 先輩は言った。


「なんて呼び合おうか」

「先輩」


 僕は即答した。先輩以外に思い付かない。


「そうなると後輩か……それだと、付き合ってる要に見えないだろ。」

「そうで──そうだね」

「そんなに敬語は喋り辛いか?」

 

 敬語じゃないとなんか可笑しいな。

 先輩は笑っている。


 この笑顔が好きだな。


「そう言えば、名前を教えてよ。」


 名前、教えてなかったっけ。

 付き合ってるのに名前を知らないのは、マズイな。


「椎名水です」

「じゃあ。後輩くんは君と呼ぶよ。」

「教えた意味なくない???」


 この時から、短期間だったが楽しかった思い出が始まる。


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 ちなみに、『Fun memories you want to forget.』の訳は『忘れたい楽しい思い出』です。次話を読んだらわかるので、是非読んでください。


 誤字脱字等ありましたら、ご報告お願いします。

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