第25話 西嶌の好意

 西嶌はエマに好意があるらしい。

 いや、ではなく、のだ。

 本人は否定しているが、エマが僕たちの近くにいるとき、西嶌はエマのことをガン見していた。


 わかりやすっ。

 ひひっ、からかっちゃうぞ!


 早速、西嶌の近くにエマを誘導する。

 案の定、西嶌はキョロキョロして最終的には、エマ直視。


「エマちゃーん!お買い物手伝ってもらえる?」

「はいっ!」


 イチがエマと一緒に買い物に行くらしい。

 それにより、西嶌の近くからエマがいなくなる。

 西嶌はしょんぼりしつつも、安心したかのように深呼吸した。


「西嶌どった?」

「なんだ」

「エマ可愛いよね」

「……なッ、ベツニフツウジャネ」


 わかりやすっ!!おもろ!


「に・し・じ・まく~ん?」

「ナッナンダヨッ!」

「なんでも──」

「スイも手伝って!」


 あら、西嶌くんをからかっていたのに、イチさんのお呼びだしが……


 ん?視線を感じる。


「西嶌どうした。」

「俺も行っていい──」

「ダメ」

「なんでだよ…親友だろ。」

「時間見ろよ、もう17時だぞ」

「でも、でも…」

「帰りな」

「あ」

「帰えれ」

「えっ」

「帰りな」

「でも」

「バイバイ」

「くそっ。明日も来るからな。」

「来なくていい」


 明日来るとか言ってたような気が…でも、明日は第二回目の瑠璃さんとのお出かけだ。

 昨日決まったばっかりだが。

 浦安にある某テーマパークに一緒に行こうと誘われたので行きますっ!



 ►►►



 僕とイチとエマで最寄りのスーパーで買い物をする。

 人が増えたので、買う量も増える。

 てことで、2人~3人でいつも買い物に行く。


「今日の夜は生姜焼きね」

「やった!──ってイチって料理出来たっけ?」

「う~んとね~。それはね~。」

「うふふ」


 エマさんは笑っていた。

 そんな、面白かったか。

 まぁいい。人間は笑ってるのが一番だしね!


 すると、エマさんが。

「今日来た、西嶌さんがずっと私のことを見ていた気がして……」

「き、気のせいじゃないかな??」


 出来る限りのカバー。

 西嶌がエマのことが好きならば応援するしかないだろ。


「そうですかね……。なんかあったらスイさん。助けてくれますか?」


 なんかってなんやねん。


「ああ。でも、西嶌はそういうこと人前ではしないから。」

「人前じゃなければするってことですよね!」

「いや、ちがう!ちがうぞ!西嶌はいい奴だから信じて。な!」

「スイさんが言うなら、、頭撫でてください!」

「なんで!?」


 エマはなんでそんなに頭を撫でてほしいんだ!?


 パキパキ。メキメキ。

 人間から出ているとは思えない音がした。


「おい、おめーら。歩道のど真ん中でいちゃつくな」

「「スミマセンっ!!」」

 イチさんから、こわこわオーラが滲み出ていた。

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