第15話 焦るな「私・僕」
「ただいまぁ~~………ふわぁ…」
「おかえりイチ。お疲れ様………?」
「ただいまぁ…ふわぁ…」
イチはあくびをずっとしていた。
「疲れたよな。荷物とかは僕が部屋に持っていくから、ゆっくり風呂沸いてるから入りなよ。お疲れ様。キラッ」
「うん。スイのお言葉に甘える………って光ってる……」
「ああ。ゆっくり入りな。」
少し顔が赤く見えたが、すぐにすたすたと風呂に向かう。
──えっ。やっば。僕キラキラすぎるだろ…
※
◁椎名一葉の心情▷
私は風呂に早歩きで向かう。
そして、浴槽に口を潜らせぶくぶくしている。
なぜかと云うと…………
かあッッッ!!!
なに!?なに!?
スイ、キラキラすぎでしょ!
凄い。胸が高鳴る。
とん。とん。
なに?この気持ち。
失礼だけど………最上に告白されたときよりも胸があつい。
ぶくぶく
「やばーーーーーい!!!」
バッシャーン!!
思い切りお湯を叩く。
「イチ姉さんどうした?」
フタが私の心配をする。
「だ、大丈夫だよ!」
声が震えてるのはすぐにわかった。そのくらい、疲れている私にスイの一言が効いたのだ。
恥ずかしい。
──この時の私はもう、恋する乙女だった。
※
イチの様子がおかしい。
イチがスマホの充電器を探していたので、貸したときも、いつもなら『ありがと!』というはずなのに、今日は『あ、あり』といって自室に素早く戻ってしまった。
やはり、心配なのでフタ・ミツに聞いてみるが情報なし。
まぁ、念のための太陽に聞いたが案の定知らない。
なんだかんだで1日が終わった。朝にはいつものイチに戻っているだろうと思っていたがそんなことはなかった。
僕を避けるようにしていて、話しかけると『………』と話す前に謎の間が開く。
なにか、したかな?と思い返すが──
──まさか、昨日の僕がキモすぎて!?
そう考えた僕は、いつもよりも、早く登校しようとするイチを止めて
「ごめん。昨日の僕、キモかったよね。」
イチは『は?』と訳がわからないという表情だった。
──ゲッ。予想が外れた?…………
『昨日の僕、キモかったよね』この言葉が僕にクリティカルヒットした。
自業自得だが気まずい。
「え、えと。ごめん。なんでもない!」
──全言撤回!!!
「え?えぇ…?ど?どうしたの?スイ」
イチが困ったような顔をしていた。
「ん。まぁ!ごめん忘れて!」
僕はすぐにイチの前から逃げる。
──なにをしているんだ?僕は。
※
◁椎名一葉の心情2▷
「ん。まぁ!ごめん忘れて!」とスイが言った。
え?なに。なんの話なの。なにを忘れればいいの?
昨日?
昨日って…………え。まさか…
かぁぁっっっ!!!!
え…え…え…パニクってる!!やばい…なになに。まって…私。
スイの事、好きになったかもしれない…
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