第5話 妹は狙っている?
妹の太陽が家に帰って来てから、家の空気がピリピリしているように感じる。
妹と義妹、合わせて3人とも偶然に同い年だ。
リビングから声が聞こえる。
太陽の声だ。
太陽は昔から声が通る。
その『懐かしい記憶』を思い出すと今とは違う楽しさがあった。
今のこの賑やかさと昔の本当の家族の賑やかさ。
僕はどちらも好きだ。
だが、昔にはもう戻れない。
先を見据えなければならないのだ。
前に歩き出す心を大事に──
「おにぃ!おーい!」
太陽が裾を引っ張っていた。
「すまない。」
「どうしたの?おにぃ、私に見惚れてたの?」
「ああ。そうだ、」
すると、奥からガシャンと音が。
目の前には、顔を真っ赤にした太陽が。
「からかわないでっ!」
と口を膨らませて歩いていった。
「か、からかってないんだけどなぁー?」
これもまた楽しいな。
※
「「すい(にぃ・兄さん)」」
と2人が声を揃えて僕を呼んだ。
「なんだ?」
「太陽さんが、すい兄さんの部屋で寝るっていっているんですよ!」
「だめ?にぃ」
妹の可愛さに負けてしまい、
「きょ、今日だけだぞ。」
と言ってしまった。
すると太陽はガッツポーズをして抱き着いた。
僕と太陽を見てフタとミツはぷくっと頬を膨らませた。
※
目の前に太陽がいる。
「おにぃ?」
ぼーとしていたため、太陽が僕を揺すぶった。
「あ。ごめ、」
「どうしたの?」
「太陽が目の前にいるから『懐かしい』なって」
「そうだね、おにぃ。何年ぶりかな?」
「何年ぶりだろな?」
「ねぇねぇ、おっきくなったでしょ」
「ああ、立派な女の子だな。」
「うん」
「でも、まだ胸はちっちゃいな!」
「あー!おにぃのノンデリ!」
「ノン?デリ?」
なんだそれ?デリバリー?
「おにぃ、ノンデリ知らないの?」
「知らない。教えて?」
「ノーデリカシーだよ!」
「デリバリーだと思った。」
「おにぃ、冗談でしょ!」
と太陽は笑った。
「冗談じゃないんだけどなー?」
『えっ嘘』みたいな顔をして僕を見てきたので笑って誤魔化した。
そしてそれから長く談笑をしていたが、二人ともいつの間にかぐっすり眠っていた。
※
「ん、」
自然に目が覚めたので起きようと体を動かすが腰のあたりが何故か重い。
「あ」
そこには僕の腰にがっちりと掴まっている太陽がいた。
太陽はまだ寝ているので頭を撫でる。
すると、太陽は「おにぃ大好き」と言った。
「ああ。僕も大好きだよ。」
と応えた。
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