第2話 家族

 僕、椎名水しいなすいの家に可愛い三姉妹が来た。

 近くで見るとやっぱり三人とも可愛い。

「やば…」

 本音が口から漏れてしまった。

 すると、三人とも僕のことを怪訝そうな顔をして見ていた。

「あ、あの!」

 と長女の一葉さんが声を出した。

「どうしました?」

「え…えと、えと」

「名前…のよび…方…とか」

 声が小さく、聞き取れない。

「ごめんなさい!もう一回言ってくれませんか?」

 すると、一葉さんの顔が赤くなり───

「もー!!ばかっ!」

「え?」

 急すぎる。何かした?僕?

「それはないよ!かず姉さん」

 と二葉さんが───

「理不尽。かずねぇ」

 と三葉さんが───

「ひどい!私の妹!」

「「ひどいのはかず姉(ねぇ)さん。」」

 話に着いていけないので、とりあえず

「僕も何か悪いところがあったかも知れないのでごめんなさい。」

「椎名さんは謝ることなんてないですよ!」

「椎名さんは悪くない。」

 と二葉と三葉が言う。

 そして、一葉さんを見ると、口をとじて下を向いていた。

「一葉さん?」

「………」

 すると、二葉さんが、

「あの!お名前って何て呼べばいいですか?」

 一葉さんは、急に顔を上げた。

「えーと。スイって呼んでもらって。」

「はい!わかりました!じゃスイ兄さんって呼ばせて貰います!」

「じゃあ。三葉は、スイにぃて呼ぶ。」

「ああ。了解!。じゃあ二人のこと、何て呼べばいい?」

「二葉のことは、フタって呼んでください!」

「三葉のことは、ミツって呼んで。」

「わかった。フタ!ミツ!」

「えへへへへ」

 とフタが笑った。

 すると、一葉さんがこちらを向いて。

「私のことは、イチって呼んで!」

「いち?」

「うん。一葉の一!」

「わかったよ!」


 ※


「スイ兄さんー!トイレってどこですか?」

「その、廊下の右だよ!」

「ありがとうございますっ!」


「スイにぃ。リモコンどこ?」

「テレビの横のケースにあるよ!」

「ありがと。」


 ガチャン。自分の部屋のドアを開ける。

 ため息をつく。

 時間は、もう16時 イチたちが来てからもう、約7時間もたっていた。

「あっという間だな。」

 コンコンとドアがノックされた。

「どうぞ」

「失礼します。」

 そこには、イチがいた。

「どうしたんですか?イチ姉さん」

「あの、この義姉のことをみんなに言う?」

「べつに、なにも言われなかったら言いませんけど。」

「そっかぁー!そうだよね!そうする!」

「え、あ、はい───ってそれだけですか?」

「え?そうだけど。」

「いや、なんでもないです。」

「まさか…Hなことを考えてたんでしょー」

「全然考えてませんよ!そんな風には、イチ姉さんのこと見てませんから!」

「う、うん。わかったよ。」

 少し寂しそうな声だった。

「い、いや。違います。異性としてみてました。」

「ん?見てました。」

「はい。見てました。」

「過去形なの?」

「はい。」

「悲しいな。」

「え、ええ。」


 コンコン ガチャン

 なんの躊躇なくドアを開けてきた。

「あーやっぱり!かず姉さんがイチャイチャしてたー!」

「かずねぇ?」

「ち、ちがう!ちがうよ!」

「二葉もイチャイチャする!」

「三葉も。」

 え。困惑。どういうことです?

 イチが頬を膨らませていた 。


 僕たちの初日は、騒がしい1日だった。











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る