　2025年9月26日金曜日、東京都千代田区、名京大学飯田橋キャンパスにて

　大学に進学して半年が経った。

　俺は内部推薦で名京大学に進学した。

　でもそれだけ。

　高校時代とほとんど何も変わっていない。

　変わったことといえば、ひかりが関西の大学に進学していなくなってしまったこと、それと暇な時間が増えたことくらい。

　それ以外は何も変わっていない。

　先週から後期の授業が始まった。

　俺は広い教室の隅の方に、一人で座っていた。

　この授業での俺の定位置。

　そこに誰かが近づいてくる。

　足音の方へ目をやる。

　ちょんまげのようにまとめられた真っ黒な長髪。

　細いのに幅が広い目。

　真っ青な和服を着ている。

「久しぶりだな、エス」

「そうでござるね、しゅんぺーどの。夏季休暇はどうでござった？」

「俺はこの国を治めていく計画を立てていた」

「左様か」

　エスに初めて会ったときは、さすがの俺も度肝を抜かれた。

　俺はそのときのことを思い出す。

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