ナエ②弱い立場の女性相談「コロナ禍のバカ」あの子は見ちゃった…の続きだよ!あんなケース、弱い立場の女の子は、どうすれば良いわけ?
第11話 やっぱり、ヤングケアラーの子たちのように…。真面目な子ほど、そっと、弱音を吐かされちゃう。生きることにあきらめちゃ、いけないのに!
第11話 やっぱり、ヤングケアラーの子たちのように…。真面目な子ほど、そっと、弱音を吐かされちゃう。生きることにあきらめちゃ、いけないのに!
「ハローワークには、いきたくないの?」
「うん」
「どうして?」
「だって…。ナエさん?」
「何?」
「有期の非正規社会が、身近に見えてきちゃって、さみしいから」
「そっか」
「…」
「ハローワークの職員の中には、バブルさんっていう人がいて、相談しにいくと、かえって、へこまされることもあるし」
「あの人たちは、頭と心の感覚が、弱い立場の人たちとは、大きく、違うものね」
「でも、ナエさん?」
「はい」
「SNSを甘く考えちゃったら、ダメですよね?」
「…」
「事件に、つながっちゃいますから」
「かなり、嫌な思いをしたの?」
「…殺されちゃう」
「…え?」
「殺されるかもしれないと思ったことも、ありました」
「…」
それでも、SNSで誰かとつながることは、やめられなかったらしい。
「どうして?」
「え?」
「どうして、いやな思いをしちゃったとしても、SNSで知らない人とつながるなんてことを、やめなかったの?」
「だって…」
「何?」
「それしか、できなかったし」
「そっか」
「…」
「悪いことを、聞いちゃったね」
「いくところが、なかったし…」
「そっか…」
「…正直言っちゃえば、いやだった。こんな生活はやめなくっちゃいけないと、思ってはいた。でも…」
「やめられなかった?」
その子の首が、こくんと、下に垂れた。
「どうして…?」
「やっぱり…」
「生きるためには、しなければならなかったと、思ったの?」
また、首が、こくんと、下に垂れた。
「やめられないよ…」
「やめられないの?」
「無理」
「…そうだよね」
「私たちのような弱い身分の人はこうすることでしか、生きられないんだなって、わかっちゃったんだから」
「…」
「こんなとき…、私を離さないお母さんが、いてくれたらなって…」
「…」
「そして、私を心から叱れるお父さんがいてくれたら、良かったなって」
「…」
「生きることにあきらめちゃダメだって、言ってくれたんじゃないかと思う」
「…」
「ナエさん?」
「何?」
「私、疲れたよ…」
そっと、弱音を吐いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます