第4話 女性3人の家庭。彼女の母親は、どうして、TV番組だけは、妹と一緒に見ていたか、わかりますか?それから、パパ活の怖さ。

 「ただ、TV番組は、見ていました…」

 「…」

 「必ず、妹と一緒に、見ていました」

 赤いウサギ。

 女性の目は、真っ赤だった。

 「…」

 「TV番組だけは、妹と一緒に、見ていたんです…」

 「…」

 「ナエさん?」

 「はい」

 「なぜ、母親が、妹と一緒に見ていたのか、わかりますか?」

 「…」

 「母親は…」

 「…」

 「まだ小学生でしかなかった妹を、1人でさみしくさせないようにしたいと思っていたのでしょう…」

 「…」

 「ナエさん?」

 「はい」

 「言葉からして、フェイクですよ」

 「…言葉も、問題なの?」

 「問題ですよ」

 「どうして?」

 「たとえば、援助交際っていう言葉があるでしょう?」

 「ええ」

 「あれは、完全な、買春行為です」

 「ええ」

 「犯罪です」

 「ええ」

 「それを、援助交際だなんて言い換える。それじゃあ、子どもたちのほうが、望んでやっているって感じに、受け止められちゃう」

 「…そうかもね」

 「それから、パパ活っていう言葉」

 「ええ」

 「パパ活っていう言葉が、あります」

 「ええ」

 「でも、それも、買春だから」

 「そうね」

 「犯罪」

 「そうね」

 「世の中には、パパ活が犯罪だと知らないのか、私、パパ活が好きですーとか、平気で言う人がいる」

 「みたいね」

 「信じられない」

 「…ええ」

 「どうか、してるし」

 「ええ」

 「TV番組のインタビューとかで、私、今、パパ活やってまーすって言う人がいるんですよね?」

 「みたいね」

 「あれって、私、人から金奪ってまーすって、言っているようなものですよね?」

 「そうね」

 「それ、犯罪…」

 「ええ」

 「…」

 「…」

 「ああいう大人になっちゃ、いけない」

 「…」

 「人前で、僕のお父さんがあ、僕の母さんがあ、お兄ちゃんがあって言う大人。ああいうのと同じくらいに、だらしない」

 「今どきの子は、言うわよね」

 「人前で、僕のお母さんはあ!とかってさ…、キモイから」

 「…」

 「まるで、赤ちゃんよ」

 「…」

 「自立が、できていないんだよね?」

 「…そうね」

 



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