第15話 ヤングケアラーの子たちじゃなくても、悩むよ。どうやったら、中学生アスリートたちを、盗撮から守ることができるんだろう?

 ハッと、させられた。

 大会で、カメラを向けている人の中には、女子中学生アスリートたちの親、兄弟、知り合い、親戚が、混ざっていたはずだ。

 そうした人たちなら、純粋な気持ちで、彼女たちアスリートの姿を、カメラで追っていっただろう。

 その人たちの気持ちって、どうなるの?

 大会の運営者や、ガードマンが、カメラを構えた人たちを怪しむかのように、声をかけるとする。

 「そこ…。中学生を、みだりに、撮らないでください!」

 もちろん、アスリートたちを守るための、声がけだ。

 上手くいくの?

 逆ギレ、されちゃうんじゃない?

 アスリートたちを撮って、SNSで拡散してしまう奴らもいるんだから。

 リベンジポルノっていうやばい言葉が、ちらつく…。

 撮った映像を使って、商売をしようとしたり。

 アスリートたちを、守れるのか?

 「でもね…ハナさん?」

 「はい」

 「どこで、線引きをすれば、良いと思いますか?」

 「うっ…」

 その通り。

 いやらしい人と真面目な人を、どこで、見分けられるの?

 「見逃しちゃっても、仕方がない」

 それ、アスリートが聞いたら…?

 怒るよね?

 「…ちょっと!私たちを守れそうにない人たちが、競技会場をウロウロして、取り締まっているわけ?それって、おかしくない?何なの?2階から目薬の、改造バージョンみたいなのは?」

 もどかしい。

 下着姿も、盗撮されやすい。

 インターネット上などでは、撮影された映像が、加工もされて出回っていきやすい。競技中の純粋な写真、動画が、裸に画像処理されて、投稿されることもあるという。

 来場者たちに、ここにきた目的などを聞く。

 「皆さん?撮らないで、ください!私は、女の子たちを守る会の者です!」

 もちろん、反発。

 「な、何だよ?」

 「一般人を、怪しむのか?」

 「近所で大会があるって町内公報に載っていたから、見にきただけだ」

 「俺は、あの子の叔父ですよ?」

 「兄、ですけど!」

 「姉ちゃんの応援に、きただけだ」

 「父親ですが、何か?」

 どういう気持ちで大会にきて、誰が怪しいのかとか、どこで、見分けるんだろう?



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