第4話 ヤングケアラーは、孤独。正しいことが、間違い。けど、悩んでいられない。「困ってる人の相談を、受けていこう。私が、皆が、生きるために…」

 「もどかしいが正解っていうこと自体が、間違い」

 「だよね」

 もどかしかった。

 正しいことが間違いっていう現実は、もどかしくて、もどかしくて…。これこそ、ヤングケアラー。

 「ヤングケアラーは、もどかしいよ。私の介護生活も、ちゃんと狙いを定めれば、思った以上に上手くいく感じだったら、良かったのにな」

 ヤングケアラーは、休みたい。

 でも、休めない。

 もどかしいんだよ…。

 つらいんだよ…。

 誰かの介護をするために、学業に遅れを出しちゃったり、進学や就職をあきらめなければならなくなっちゃう子が、出てしまう。

 ヤングケアラーの年代層は、まちまち。

 家族などのケアをはじめた時期で最多なのが、中学生時代だという。次いで、小学生の高学年時。

 介護頻度も、まちまち。

 「毎日のように、誰かの介護に追われる」

 そう訴える子もいれば、週2、3回介護するという子もいる。

 ヤングケアラーの子たちの10人に1人くらいは、誰もケアを手伝ってくれる人がいないと悩んでいるという。

 調査を進めるたびに、ヤングケアラーの悩みが、浮かび上がる。

 「身体が、折れちゃう」

 「心が、折れちゃう」

 「悩みを打ち明けられる人が、いない」

 「不満をぶつけられる相手も、いない」

 ヤングケアラーは、孤独。

 ストレスを感じながら、生きていく。

 不安。

 「私の将来は、どうなっちゃうんだろう?結婚とか、できるのかな?」

 「家族の誰かが、急に苦しんで、私が、授業中に呼ばれることだってある」

 ハナにも、そういうことがあった。

 今どき世代の子のほとんどが、学校に、携帯電話などの連絡手段を、持ち込んでいるのだし。

 「急いで帰宅した私は、無断欠席扱い。内申点が、どんどん、下げられていくことも…。入試のハードルが、上がり続ける」

 他にも、こういう思いをしている子は、いるんだろうな。

 「他の人の悩みを、聞いてみようか…」

 問題は、コロナ禍。

 密状態を避けて、人と会うことが、難しい。相談は、続けられる?

 悩んだ。

 けど、悩んだって、はじまらない。

 困ってる人の相談を、受けていこう。

 私が、皆が、生きるために…。

 立ち上がった、ハナ。

 ヤングケアラーの心、わかってもらえるの?





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