ヤングケアラー・ハナは、奮闘中!①~がんばれとも言えないけれど、負けないで!家族以上に、女性アスリートの悩みも、ケアしてあげたい!~
第3話 ヤングケアラーの子たちは、このくらいの会話ができるくらいなら、まだ、平和?本当は、疲れていて眠かったんだけれど…。
第3話 ヤングケアラーの子たちは、このくらいの会話ができるくらいなら、まだ、平和?本当は、疲れていて眠かったんだけれど…。
「だから、さ」
「うん」
「次の選択肢の中から、2階から目薬の言葉の意味を選びなさいっていうの、あったはずだよ」
「ねえ、あったでしょ?ハナ?」
「うーん…」
「あったかい?」
「うーん…」
「ストラディバリウス!」
「あ、高い!」
「マフラーを、巻いてあげましょう」
「あったかい…。って、そうじゃないか」
「乗ったの、そっちじゃないの」
「わかったよ」
「わかったの?」
「あ…、あった、あった。思い出した!」
「安心、安心」
「だね」
友達に嫌われないよう、話を、合わせる。私のような中学生でもできる、処世術だった。
「あった、あったよねー」
「ハナ!良いぞ」
「えへへ」
「ようやく、思い出したか」
「うん」
「やったね、ハナ!」
よく考えれば、何がやったなのか、頭が、グニャグニャのデロデロ。それで、良いんだろうけれど。
「…で、何?」
「ハナ?正解の選択肢って、覚えてる?」
「そんなの、覚えていないけれど…」
「思い出すんだ、ハナよ!」
「なぜそこで、勇者なの?」
「勇者の、呼吸!」
「あ、思い出した!」
「でかしたぞ、ハナ!」
「もどかしいっていう選択肢、だったんじゃない?」
「そ、そ」
「だよね」
「もどかしい」
「うん」
「選んだ?」
「うん。選んだと思うよ」
「でもそれ、おかしいから」
「そうなんだっけ?」
「しっかり、ターゲットに狙いを定めて、ピンポイントで、2階から1階に向けて垂らするとするじゃない…?」
「…ターゲット、かあ」
「当たれえ!みたいな」
「何、それ?」
「当たれえ、俺のかわいい、ファンネルたちよ!」
「何、それ?」
「わかんないけど、お兄ちゃんが、言ってた」
「ふうん」
「でさ、ハナ?」
「うん」
「ちゃんと、命中するって」
「目薬、2階から、ちゃんとさせるの?」
「らしい」
「ふうん」
「60%くらいは、成功したと思うよ?」
「そうなの?」
「もどかしく、ないよね?」
「うん」
「ハナ?」
「何?」
「ヤングケアラーと、どっちが、もどかしいの?」
「わかんない」
「社会に、正解はない」
「特に、コロナ禍には、正解がないっぽいよね」
「そんな感じですなあ、ハナ殿?」
「うむ」
本当は、疲れていて眠かったんだけれど、そうは、言えなかった。
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