ヤングケアラー・ハナは、奮闘中!①~がんばれとも言えないけれど、負けないで!家族以上に、女性アスリートの悩みも、ケアしてあげたい!~
第2話 ヤングケアラーは、「2階から、目薬」? 責任感で、追い詰められていく。「疲れたなんて、言えないよ。家族を支えるのは、私の義務…」
第2話 ヤングケアラーは、「2階から、目薬」? 責任感で、追い詰められていく。「疲れたなんて、言えないよ。家族を支えるのは、私の義務…」
ヤングケアラーの、やせ我慢…。
「お母さん?ゆっくりしていて、良いんだよ?私が、何とか、やるから」
私がやらなくっちゃ、ならないんだ…。
「家族を支えるのは、私の義務なんだもん…」
こうした責任感が、ヤングケアラーを、追い詰めていく。
「疲れた。でも、弱音は吐けないよ」
中学校の部活には、いけず。ブラスバンド部に入ってはいたけれど、活動はできなかった。
「コロナ禍」
「発表とか、できない」
「コンクール会場も、作れない」
クラリネットを吹くことは、叶わなかった。
「あのクラリネットは、卒業までは、ハナのものだからね?練習しておいてね?コンクールも、控えているんだからさ」
友達には、そう言われていたけれど…。
「ハナ?がんばってね?」
もう、がんばれないよ。
友達の言葉が、優しそうでいて、怖くなった。
「ハナは、ヤングケアラーなんだって」
「美談だね」
「助け合いって、良いよね」
「家族思いだね」
そんなんじゃないよ。
もどかしかった。
もどかしかったのは、こんな言葉も。
「2階から、目薬」
目薬は、普通、手元で、さすものだ。それを、建物の2階とかから、下の階にいる誰かの目に向かって、液を垂らす。
誰かの目に入れるだなんて、なかなか、できない。
あれ?
失敗。
あ…。
また、失敗した。
「もどかしいなあ」
そんな意味の言葉じゃあ、なかった?
でもさ…。
ちゃんと狙いを定めて、目薬の液を垂らせば…。
思った以上に、上手くいくらしい!
いつだったか、こんな話になった。
「ねえ、ハナ?」
「何?」
「模試で、さ」
「模試?」
「たしか、2階から目薬っていう言葉の意味を聞かれたでしょう?」
「2階から目薬の、意味?」
「そ、そ」
「ら、ら」
「し、し」
「ど、ど」
「音階じゃ、ないから」
「そっちが、言ったんじゃないの」
「まあ、良いけど」
「あ、折れた」
「うん。折れた」
「…そういう問題、あったかなあ?」
「あったよ」
「あったかなあ?」
「あったはずだよ?」
「あったかなあ?」
「それしか、いってないし」
「そんなこと、ないし」
「あったかなあ?」
「やっぱり、それしか、いってないし」
「やっぱり、そんなこと、ないし」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます