第12話 鬼滅ごっこ(鍵っ子たちの遊び)!

 どうするの?

 学童保育は、放課後帰宅しようにも、親が働いて家にいないような子を、一時的に預かってくれる場だ。帰宅する時間に親がいないわけで、中には、鍵をもって生活する子も出た。誰もいない我が家の鍵を開けて、親が帰ってくるまで、待つわけだ。

 「鍵っ子」

 中には、こうした鍵っ子に、憧れをもつ子もいる。

 小学生は、夢物語。

 困ったことを、平気で言う。

 「良いなあ。鍵をもっているから、いつでも、玄関の鍵を開けて、家に入れるのか。親が帰ってくるまで、やりたい放題だな。良いなあ」

 …そう?

 本当に?

 鍵っ子には、危険があるんだよ?

 親が帰ってくるまで1人で過ごすということは、何か事故があっても、まわりには知らせにくくなるんだから。

 だって…。

 見ていてくれる人が、いないんだから。

 困るのは、また、友達を、家に連れてきた子…?

 「遊ぼうぜ!」

 「遊ぼうぜ!」

 「親が、帰ってこないんだよな!」

 「うん」

 「じゃあ、俺たちだけで遊んじゃおう!」

 そんなこんなで、家の中は、荒れ放題になりやすい。

 小学生のパワー、半端ないから。

 親が、帰宅…。

 「何?この散らかりは、何なの?早く、片付けなさい!」

 怒られるだけ。

 宿題も、しなくなりがちだ。

 特に、今どき世代の子は、友達と、外に走り出て、野球やサッカー、鬼ごっこ、缶蹴りなどでは、遊ばない。

 「だって、仕方がないじゃないか。野球やサッカーをする人数が、集まらないんだからさ」

 …少子化社会の、罠。

 「けだものの呼吸!」

 「ってある意味、学校の先生の、呼吸!」

 「変態」

 こういう遊びも、やりにくくなっちゃったろう。

 「鬼ごっこじゃなくて、鬼滅ごっこをしていたら、知らない人から、うるさいって言われた。だから、やりたくないんだよ」

 …なるほどね。

 「知らない人に、怒られた」

 …なるほどね。

 「来年、就職なのに」

 え、マジ?

 「鬼になるのはまだ早いから、やめなさいって、怒られた」

 …ウソだあ。

 学童保育所を知っていたナエには、鍵っ子の問題などについても、考えさせられた。  

 悩むばかり。



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