第6話 私のアピールって、何?弱い立場の人たちは、気を付けて!将来、バブルのじゃまおじやじゃまおばのように、ならないで!

 真剣に、向き合いたい。

 未成年者は、気持ちが高ぶってしまい強く出ると、自身の下着姿、裸の映像や写真まで撮ってしまう。

 そこで終われば、まだ、救いはある。

 けれども、ネットで、そういう自撮り画像を上げてしまう子がいる。

 気を付けて!

 将来、バブルのじゃまおじやじゃまおばのように、なっちゃうよ!

 「あのね…ナエさん?」

 「ええ」

 「その…。インスタから知り合ったっていう彼氏に、ひどいことをされたのよ」

 「その、友達さんが?」

 「うん…」

 その友達…実は、その子本人だったのかもしれなかったのだけれど…。そこは、もういい。もう、いいよ。そんなの。

 「知り合いになったバーチャル彼氏に送った、自撮りの裸画像が、何ていうのか、終わったっぽいって」

 「…どういうこと?」

 友達という人は、ネット経由で知り合いになった彼氏…彼女いわく、バーチャル彼氏にまで、ついつい、自撮りの裸画像を送ってしまったという。

 「…」

 「ナエさん、それでね?」

 「…あのね、カグナちゃん?」

 「…何?」

 「…どうして、その子は、そういう画像を送っちゃったんだと思う?」

 「だって…」

 「…」

 「…だって、ナエさん?」

 気にならないわけが、なかった。

 ナエたちのような世代、就職氷河期を生きた厳しい世代は、知らない人に自身の裸を写真で送るということは、常識的に、しなかった。

 「インスタとか、私たちの学生時代には、なかったしね。だから、そういうことは、しないのよ」

 …という問題じゃ、なくって。

 コロナ禍の、痛み…。

 「私、どこにも、出かけられない。でも、私を知ってもらいたい。だから…」

 コロナ禍は、人の心を汚していく。

 「…ナエさん?」

 「はい」

 「その子は、自分自身のことを、わかってもらいたかったのよ。だから、写真を、送っちゃった…。学校にいけないんじゃあ、友達に会えないまま。新しい友達も、作れない。さみしいまま。友達に、近付きたい…。自分自身をアピールしただけ。おかしいの?」

 おかしくは、ない。

 …かもしれない。

 難しい。

 難しいよね?






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