第4話 「このSNSの画像は、何だ?退学届けか、職員会議。どちらか選べ!」そんなこと言われちゃったら…。どうすれば良いの?

 それは、見知らぬ男性に、アパートに連れ込まれときの映像。金をくれるからと言うので、いやらしい行為に応じてしまったときに撮影されたものだった。

 「このサイトが何か、わかるか…?」

 「おい、聞いているのか?」

 「…」

 「おい、カグナ?」

 「これは、な…」

 「…」

 「これは、違法な、ポルノサイトだよ!」

 「ほら」

 「良く、見なさい…」

 「…」

 「完全に、君の顔が出ている」

 「…」

 「カグナ?どうしようかって、悩んでいるんだろう?」

 「だって…」

 「何だ?」

 「言ってみなさい」

 「…先生だって」

 「何?」

 「先生だって、こういうの、やっているし…」

 「ああ?」

 「何だと?」

 「俺たち学校の先生は、公務員だ。お前ら弱い立場を監督する、偉い身分だ。俺たち公務員には、特権があってだなあ。ひひ。俺たちなら、許されるんだよ。特に、俺たち常勤は、強いからなあ」

 「…」

 「お前は、女子高生だ。警察に金を渡して隠蔽できる俺らとは、違うだろ?」

 「…」

 「他校の女子高生との関係がばれそうになったら、自治体の教育課が、何とかしてくれる。役所の偉い人が、俺らの代わりに、謝ってくれる」

 「…」

 「気持ち、良いぜ」

 「学校の先生、サイテー…」

 「何?何か、言ったか?」

 「…」

 「俺ら先生は、良い。だがお前は、女子高生だ。許さん」

 「…」

 「さあ、カグナ君?どうしますかねえ?」

 「…」

 「ほら、座って」

 「楽にして、良いよ」

 一転して、かけられる言葉が、やんわりとしてきた。

 犯人を取り調べる警察が、厳しさからときおり優しさをみせて、自白を引き出すやり方に、似ていた。

 「…先生?」

 「何だ?」

 「私、どうすれば良いんですか?」

 「1週間以内に、退学届けを出せ」

 「…」

 「それか、ここで、もっと、恥ずかしいことをしてやろうか?ひひひ」

 「…先生」

 「心配は、いらないさ。俺たちは、学校の先生なんだ。ひひ」

 「…サイテー」

 「来週、でかい職員会議がある。そこで、この学校の職員全員に、この動画を見てもらうようにしようか?」

 「…そんな」

 「退学届けか、会議か?おい、どちらか選べ!」

 泣いた。





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