第2話 進路指導室の彼女。弱い立場の人が泣かされちゃうのは、高校生でも同じ。女子高生カグナちゃんについて。

 …ということで、今は、ハローワークなんかでも、非正規ではなくて、有期(期限付きのってことで)で雇用された労働者ですよっていう言い方になってきた。覚えておこう。

 「非正規…」

 「私たちは、正規の人じゃ、ないのか」

 「何だか、おもちゃの壊れた部品みたい」

 どうか、そう思わないでいて。

 「有期の労働者たちの生活を、考えよう」

 「弱い女性の生活を、支えたい!」

 ナエという名の、女性。

 「困ったな…」

 ナエは、学童保育所(放課後児童クラブともいう)の手伝いをしていた。

 「コロナ禍で、傷付く子どもたちを助けよう!」

 近ごろ、悩みが変わってきた。

 以前は、こう。

 「うちの妹が、学童保育所でお世話になっています。その子の姉の私は、1人暮らし。私、大学に入学したのに、コロナ禍で、学校にいけない。何のために、学校に入ったんだろう?これからどうしていけば、良いんだろう?悩んでいます」

 何か、できることはないのかな?

 「そうだ。SNSで、相談を受けよう!」

 真面目なナエは、声を集めた。

 「ナエ?」

 「何?」

 友人からも、声が集まった。

 悩みは、日々、変わっていった。

 「ナエ?」

 「何?」

 「困っている人が、いるんだ。いってあげなよ」

 学業や仕事があるのに家族を介護したりする、ヤングケアラーのような忙しさ。学業に専念できなかったナエは、やっぱり、ヤングケアラーのよう。

 「困っている人は、どこ?」

 そこでやってきたのが、学童保育所。

傷付く子どもたちが、見過ごせなかった。

 「たすけて!」

 社会の悩みが、増えてきた。

 大学にいけなくって、リモート授業も受けられなかった時間の、学童保育所…。毎日のように、緊張の呼吸。

 緊急事態宣言が一旦解けて、学校にいけるようになったとしても、問題ばかり。

 「弱い立場は、弱いままなのよね」

 以前、ナエがバイトで知り合った子は、口を、サンドウィッチの角のように、尖らせていた。

 カグナちゃん。

 女性は、つらいよ。

 高校にいったときの、涙話。

 「…カグナ?」

 「何ですか、先生?」

 「これは、何だね?」

 「…って、何ですか?」

 「それは、我々のセリフだ!」

 「何?」

 何人かの先生が、集まっていた。






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