第8話 呑気なお茶の時間

「佐賀の松露饅頭と長崎のカステラは・・無かった 哀しい、くすん」


そんな様子の彼女を

庭の梅の木の傍で見ている小さな女の子 女の子はじっと笑う彼女を見る

女の子の顔には 穏やかな微笑み そっと風が吹き ゆっくりと消え去ってゆく


「あ・・友達からのラインだ」


「定光寺と最上神社近くのドイツ菓子の喫茶店へのお誘いね!

あそこケーキは最高、美味しい」

「サイラーだったかな? 魚のサンドイッチも美味!」


「彼女、博多の海近寺の娘で

大きな祭りでの手伝いが大変だって言っていたわ」


「夏の山笠は 神社たちと御寺さん達が

それぞれ安全祈願の御経に祝詞 大きな祭りだから大変ながらも頑張っている」

美味しそうに緑茶で喉を潤す

「ああ、御寺の法要の用意もあったか」


「さて、まだ小腹も空いている ホットケーキを・・あ!」

眩暈を感じて 倒れ込む


次に大きな音 茶碗が割れる音が響く


数時間後 沢山の人達に 泣き止まぬ母と父がいた


「・・沙耶 私達がもっと早く帰宅していれば」

「最初は異常が無くても 後から出る場合も少なくないです」


「死因は 階段から落ちた事です」


「スマホに その記録が・・・」

「明日、怪我で入院中の林太の処に行くはずだったのに」


また、意識が遠くなる 暗転


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