◆◆ 1-6 女官長ミズキ ◆◆
皇帝とタイシンが立ち去ってまもなく。
【 女 】
「――立ちなさい」
【 ホノカナ 】
「はっ、はいっ!!」
凛とした声で命じられ、飛び跳ねるようにして起き上がると、眼前に長身の女が立っていた。
【 女官 】
「なるほど、返事はよろしい」
女官というには、ずいぶんと威厳のある人だ、とホノカナは思った。
【 ミズキ 】
「私は女官長の〈ミズキ〉。あなたの名と本籍は?」
【 ホノカナ 】
「はいっ、姓は
【 ミズキ 】
「峰東……それでは、この前のいくさで……」
【 ホノカナ 】
「……はい、いろいろありました! ですが今は! 女官としてがんばりたいです!」
【 ミズキ 】
「そうですか」
ミズキは首肯した。
【 ミズキ 】
「これよりあなたを見習い女官として認めましょう。ですが、あるていど経っても見込みがないようなら、出ていってもらいます。そのつもりで」
【 ホノカナ 】
「はっ、はいっ! ……ちなみに、あるていどっていうのは、どのていどで……?」
【 ミズキ 】
「あなたに質問は許可していません」
【 ホノカナ 】
「は、はいい……!」
ホノカナは早くも、えらいところに来てしまった――と思いはじめていた。
【 ホノカナ 】
(で、でもっ……わたしには……こうするしか!)
【 ミズキ 】
「それから、ホノカナ」
【 ホノカナ 】
「――はいっ!」
【 ミズキ 】
「これからは、もう少し声を抑えるように」
【 ホノカナ 】
「……はいぃっ……」
ともあれこうして……
ホノカナの女官生活がはじまったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます