第4話 襲撃

 爆音は正門の方角からだった。

来たか...

クロムはすぐさま、ルーシアの前にでて、対敵姿勢をとる。

程なく、正門の方角からゴブリンの群れが現れた。ゴブリン達は一直線にクロム達に向かって走ってきていた。

しかし、ゴブリンの群れが、クロムたちの元に到達する前に、武装した集団が間に入り、ゴブリンたちを駆逐し始めた。フロイド侯爵に雇われた冒険者たちであった。

「ルーシア様!!」

クロムとルーシアの元には、レオン一行がやってきた。

「ルーシア様、敵は想定以上の大群です!ルーシア様は裏門よりいったん城外に逃れて下さい!」

「でも...」

「ルーシア様とベビードラゴンを城外に避難させている間に、敵を城内に誘い込み、殲滅します!ルーシア様の護衛には私と選り抜きの者が付きますのでご安心下さい!」

レオンはそう言って、ルーシアの手を引く。

「クロム様!」

ルーシアは何か言いたげにクロムの方を見た。その様子を見て、レオンは苛立たしげにクロムに言い放った。

「君はゴブリンたちの殲滅に加わりたまえ!もっとも、それだけの実力があればの話だがな!!」

クロムはその言葉に、やれやれと言った顔をする。

「かしこまりました。勇者様のご指示です。そのように致します」

クロムはそう言って、ゴブリンたちの方を見た。

「クロム様!」

ルーシアはそれでもまだ、納得がいかない様子でクロムの方に手を伸ばす。

「ルーシア様ご安心ください。こう見えて魔物の相手は慣れております。この場は私が必ず鎮めますので、ルーシア様は安全な場所に避難されてください」

クロムはルーシアを安心させるようにそう言った。

「さあ、ルーシア様!参りますよ!」

レオンはそう言って、ルーシアの手を強く引く。ルーシアは仕方なく、レオン達に従って、裏門の方に連れられていった。

クロムは、その様子を見送ったあと、ゴブリンたちの方に向いた。

「さて、始めますか...」

クロムはそう呟き、ゆっくりと歩き始めた。

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