数日後~とあるパーティーでのやり取り~ 俯瞰視点
「あの噂……。本当なのかしら……?」
「? 噂? 何かありましたの?」
「先日、フィレーダ侯爵家のセヴラン様が東奔西走されていたでしょう? その原因となったやり取りのことですわ」
「そちらは、わたくしも小耳に挟みましたわ。なんでもいらっしゃられた大公閣下に土下座を繰り返し、涎まみれで泣き叫んでいたとか……」
「あら、その出来事は事実ですわよ。わたし、この目で目撃しましたもの」
「私も、目にしましたわ。それはもう、酷い有様でしたわ」
「舌もロクに回っていなくって……。そうなるに至った理由も含め、『情けない』という言葉がぴったりでしたわ……」
「婚約者に良いところを見せたいから、嘘を吐く。その気持ちは、分からなくもありませんが……」
「大公ですら姿勢を正す、敗れると言った。あまりにも低レベルな嘘ですわよね……」
「セヴラン様を存じ上げていない方でしたら、信じるかもしれませんが……。ねえ……」
「あの方を少しでも知っているのであれば、即ウソだと分かるものですわ。どうしてそれが分からなかったのかしら……?」
「きっと常人が想像できないほどに、自信がおありだったのでしょうね」
「ええ、そうでしょうね。……違う意味で、恐ろしい方ですわ」
などなど。あらゆるパーティー会場では、こういったやり取りが行われるようになりました。
自信満々な闊歩からの、必死な土下座。リッカーテール侯爵邸での、情けない姿。
その翌日の、必死の撤回活動。走り回って自分の嘘を言い広める、情けない姿。
貴族界であっという間に広がってしまった、酷評。
それらによってセヴランの『株』は急落し、その結果――
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