番外編IFその2~もしも、セヴランのウソが大公の耳に入っていたら~ セヴラン視点(1)
※このお話はIFその1の途中(ナディーヌの作戦が上手くいき、ナディーヌとの縁が切れた直後)から、始まるお話となっております。
「ナディーヌ。俺はこれから、君のために第一歩を踏み出すよ」
ミレネア卿が、ここフィレーダ侯爵邸を去ったあと。
『そんなメッセージを贈られてしまったら、断れるはずがないな。……分かった、ミレネア卿。ナディーヌのためにこの縁を切り、俺は新たな道を進むことにしよう』
卿に、そう回答したあとのこと。
俺は届いていた招待状を手に取り、その全てに『参加する』と返信を行った。
こうした理由は当然、新たな道を進むため。新たな出会いを求め、これから様々な夜会やパーティーに顔を出すのだ。
「最短で開かれるものは…………5日後。リッカテール侯爵家で催される夜会か」
リッカテール家もまた歴史ある『家』で、しかも国内外の上級貴族と深い繋がりを持つ『家』。そのため公爵家など高い身分の令嬢も、多々出席することになっていて――。
ナディーヌ以外で、俺に相応しい中~下級貴族令嬢なんているはずがないからな。お誂え向き。今の状況にはこの上ない、ぴったりな会だ。
「ナディーヌとの恋は、予想外な形で終わってしまったが――。どうやら、良い風が吹いているらしい。5日後が楽しみだな――と、そうだ。この機会に、タキシードを新調しておくか」
再スタートを切るのだから、こういったものも全部リセットしておこう。
そこで俺は贔屓にしている店のオーナーを呼び寄せ、採寸させる。そして、
「
「い、5日後でございますか!? お、オーダーメードとなっておりますので……。そちらは――」
「1・5倍の値を出す。どんなに遅くとも、当日の正午までには届けるような」
ウチは、裕福な侯爵家。金の力でルールを捻じ曲げ、新たな勝負服は問題なく完成となった。
そのため俺は、ピカピカとした――侯爵家次期当主セヴラン様に相応しいお召し物を纏い、会場であるリッカテール侯爵邸へと旅立ったのだった。
「ふふ。いよいよ、新たなセヴラン劇場の幕開けだな。楽しみだ――ん?」
それは、出発して30分ほどが経過した頃だった。不意に、妙な寒気がやって来た。
……なん、なんだ……? この、嫌な感覚のある寒気は。
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