番外編IF~もしもナディーヌが、セヴランと上手く別れられていたら~ 俯瞰視点(9)
「ぁぁぁぁぁぁぁ……。ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
「くそぉぉぉぉぉぉ……。くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!」
門を挟んだ叩き合いが始まってから、およそ6分後。ナディーヌとセヴランは同じく門を挟んで倒れ、顔を腫らして頭を抱えていました。
突如発生した、戦い。その醜い争いは、共に体力が尽きて引き分けとなりました。
そうして2人はある程度の冷静さを取り戻し、ようやく、『こんなことをしても意味がない』と気付いたのでした。
「この男に何を言っても、無駄……。失ったものは、戻ってきませんわ……」
「この女に何を言っても、意味がない……。あの日々は、時間は、もう戻ってこないんだ……」
ナディーヌとセヴランは夜空に向かって呟き、
「「ぁぁぁぁぁ……。ぁぁぁぁぁ……!!」」
同じタイミングで嗚咽を漏らし、
「誰か、わたくしを助けてぇぇぇ……!! 一度だけ、やり直すチャンスを与えてくださいぃぃぃぃ……!!」
「誰か、俺を助けてくれぇぇぇ!! このままは嫌だぁっ、こんな人生をやり直すチャンスをくれぇぇぇぇ……!!」
共に、『何か』に対して助けを求めます。
ですがこの場には、両家の人間しかいないため変化はありません。そして――
「どうか、わたくしにお力を……っ。わたくしが社交界に復帰できるように、お働きかけを……!!」
「どうか、俺にお力を……っ。俺が再び堂々と人前に立てるように、お力添えを……!!」
その後2人はそれぞれ懇意にしていた人を訪ねますが、そこでも救いの手を得ることはできませんでした。
そのためナディーヌとセヴランは、ずっとそのまま。2人は今後も自らの行動による悪評を背負い続け、そうしたくはないのに、ひっそりと生きていくこととなってしまったのでした――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます