番外編IF~もしもナディーヌが、セヴランと上手く別れられていたら~ ナディーヌ視点(6)
「皆様っ、分かりましたわ!! 噂のもとは、ジュスタン・ライズネルト様ですのっ!! あの方はあのように動いたわたくしをよく思っておらずっ! 社交界から抹殺したいと思っていた!! そのため復帰しても居場所がなくなるようにっ!! 目撃者を捏造してあの出来事を広めていたんですわっ!!」
腹立たしいけれど、エリザベットはわたくしをなんとも思っていない! 復讐する気持ちも湧かないほどに、無関心だったんですものっ! だから犯人は、あの方しかいない!! これはジュスタン様の仕業なんですわ!!
「ジュスタン様とエリザベット――様はっ、現在夫婦っ! 愛する人への行動を許せなくってっ!! 色々と、水面下で準備をしていてっ! もしも社交界に復帰できたとしてもっ、すぐに居られなくなるように仕組んでいたのですわ!!」
『………………』
『………………』
「皆さん信じてくださいましっ!! わたくしは――」
「ねえ、ナディーヌ様。確認したい事がありますわ」
っ! この方は、二ネック侯爵家のシャーロット様ですわねっ。
やったっ。一名、しかも上位貴族の方が反応してくれましたわっ!
「はいっ、なんなりとお申し付けくださいましっ! なんでしょうっ?」
「貴方様の、今の言い分。それは全てが、事実なんですのね?」
「ええ事実ですわっ!! 紛れもない事実ですわっ!!」
「……そう、ですのね。だったらやはり、浮気と自慢は事実なんですのね」
…………ぁ。
ぁ……。ぁぁ……っ。
「浮気はそもそもが問題行動で、その上目的はああいったものだった。更にはそれをご本人に伝え、悦に入ろうとする。貴方様の中には、『常識』と『倫理』が見当たりませんわね」
「ちっ、違いますわ!! 今のは言い間違えでっ、紛れもない事実ではありませんわと言いたくって――」
「そんな言い間違えは、あり得ませんわよ。ねえ皆さん」
そうすれば、周りからは……。頷きだけが、返ってきた……。
「そんなことをされたのなら、誰だって怒りますわよ。ジュスタン様のお気持ちに共感できますし、そもそも――。常識も倫理もない人の証言しかないものですしね。噂を広めたのがジュスタン様だとは限りませんわ」
「そっ、それは本当なんですのっ!! わたくしはっ、一つも嘘を吐いていな――」
「言い間違えた、そう嘘を吐いたばかりでしょう? 貴方の発言は、『うっかり出てしまったもの』以外は信用できませんわ」
「あっ、あれは違うんですっ!! つい否定してしまいましたがっ!! それ以外に嘘はないんですわっ!!」
わたくしは360度を見回して必死に訴えて、でも――。同意をしてくれる人は、いなくって……。返ってくるのは、更に冷たくなった白い目で……。
そんな視線しかない場所には、居たくない、居られないから…………。わたくしは会場を去って馬車に乗り込み、今来た道を引き返して――
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