番外編IF~もしもナディーヌが、セヴランと上手く別れられていたら~ ナディーヌ視点(5)
「……………………」
エリザベットに勝つために、セヴラン様といわゆる浮気をしていたコト。それを本人に自慢して、返り討ちに遭ってしまったコト。全てを、知られていたコト。
それらを理解したわたくしは、たまらず固まってしまっていた。
「噂が広まるまでは、皆様ナディーヌ様との再会を楽しみにしていたのですが……。理由も行動も、あまりに常識外れですので……。あのようになっているのだと思います」
「………………そ、そんな――ちがっ、違いますわっ! そちらはっ、事実ではありませんわっ! 根も葉もない噂ですわっ!!」
どうにか理性を取り戻したわたくしは、すぐに大声で否定を始める。
だってこのままだったら、今日だけじゃないっ。永遠に社交界に出られなくなってしまうんですものっ!! セヴラン様との関係は婚約解消のあとで生まれたもので、夜会で本人に自慢してもいないと訴えたっ!
「どれもこれも、悪質な捏造っ、ありもしない噂なんですのっ!! ニコル様っ、信じてくださいましっ! 協力してくださいましっ!! わたくしと共に、真実を広めてくださいましっ!!」
「………………申し訳ございません。そちらは、出来かねます」
「なぜですの!? どうしてですの!? わたくし達は友っ、親友ですわよね!? 理由は何なんですのっ!?」
「理由は、その……。根も葉もない噂ではない、という証拠があるからです」
おもわず詰め寄っていたわたくしの身体が、また独りでに固まってしまう。
証拠が……。ある……?
「夜会でのやり取りを――ナディーヌ様とエリザベット様のやり取りを、見て聞いていた方が複数人いらっしゃるんですよ。他にもリーベルト様への確認や、優越感に満ち満ちたお顔と、そのあとの愕然としたお顔など。そういった部分まで目撃情報があるため、否定は意味がないんですよ」
……………………。アレを、見られていた……?
((う、嘘ですわ、あり得ませんわ……。表情や行動はともかくとしてっ、あの会話は誰も聞かれていないはずですもの……!!))
おかしいっ! おかしすぎますわっ!! 誰かがっ、わたくしを嵌めようとしているんですわっっ!!
((誰っ!? 誰なんですのっ!?))
わたくしの未来を潰そうとしているのは、どこのだれ――っ!!
分かった。分かりましたわ……! 絶対に、そう。この噂を広めたのは――
ジュスタン様ですわ!!
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