番外編IF~もしもナディーヌが、セヴランと上手く別れられていたら~ 1週間前のやり取り 俯瞰視点(3)
「ジュスタン様。ナディーヌ・ミレネアに関する御報告がございます」
最愛の人――妻・エリザベットとアフタヌーンティーを楽しみ、書類の処理を再開させるべく執務室に入った直後でした。彼の従者であるフェルンネックが、ノックと共にやって来ました。
「……ナディーヌ。確か3か月前に、彼が婚約を行ったのだったね」
類は友を呼ぶ。歴史は繰り返す。
セヴランはまたしても、表面だけは良い令嬢――金目当てでセヴランのご機嫌を取り続ける、大きな猫を被った子爵家令嬢ローレアと縁を持ってしまっていました。
「元婚約者との復縁は、あり得なくなっている。ということは、動き出したのかな?」
「ええ、ついに動き出しました。先ほど快復を発表し、一週間後に開かれる学院の会で復帰をするもようです」
『原因不明の体調不良に陥ってしまった』。ジュスタンはそのニュースを微塵も信用しておらず、ミレネア邸の周囲に臣下を配置していました。そのためナディーヌ達の行動、目的は、把握されてしまっていたのです。
「ジュスタン様。いかがなさいますか?」
「予定意通り、プランBを始動させる。……フェルンネック。あの仕込みは、済んでいるね?」
「はい。すでに完遂しております」
「助かるよ。じゃあ彼らに、伝えておいてくれ。本格的に動いてくれ、とね」
「承知いたしました」
そうしてフェルンネックは速やかにその場を立ち去り、その姿を見届けたジュスタンは東と南西の方角を――ミレネア子爵邸とフィレーダ侯爵邸がある方角を眺め、クスリと微笑みました。
「君達は色々と予想外のことをしてくれたけれど、残念ながらそれでも終着点は変わらない。どちらもその報いを受ける羽目になるから、どうぞお楽しみに」
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