第13話 お礼をしたいところだけど ジュスタン視点
「……今夜は、色々な事があったね。まさかそういった理由でセヴランに近づいているとは、思ってもみなかったよ」
何かと賑やかだった夜会が幕を閉じた後。エリザベット様をお送りした後のこと。自室に戻った僕はイスに腰かけ、あの出来事を振り返っていた。
両親の承認があったとはいえ、本人の意思を無視して交際を始めた男。あまつさえ本人への謝罪がないまま、金に物を言わせて関係を絶った男。セヴラン・フィレーダ。
エリザベット様の両親と同じく、彼にも何かしらの『お礼』を行いたかった。そこで秘密裏に、セヴランの周辺を探っていたのだ。
そのためかつての浮気相手がナディーヌ・ミレネアと知ってはいたけれど、あちらには愛が微塵もなかったなんてね。彼は最高の人を選んでいたようだ。
「ナディーヌ・ミレネアはエリザベット様を超えるために近づいてきて、それだけを目的にして関係を持っていた。だとしたら――」
現在の彼女の心情。
現在の彼の感情。
その2つが合わされば、面白いことが起きるだろう。
それは僕が計画していたものよりも、大きな悪影響をもたらすことのできる出来事。ならば僕は退いて、外から眺めることにしよう。
「ニーエイル卿夫妻に続き、彼にも彼女にも直接手を下せなくなる。それは残念なのだけれど、仕方ないね。そちらに割くつもりだった時間はエリザベット様を幸せにすることに使い、彼らをそっと見守るとしよう」
セヴラン・フィレーダ。そして、ナディーヌ・ミレネア。
そういった行いに手を染めた君たちには、大きな報いが返ってくることになる。どうぞお楽しみに。
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