第5話 ………… ドニ視点(3)
「ドニ・リートアル様。敢えてもう一度、言わせていただきましょう。貴方のソレは、シルヴィ様に『自分』を押し付けているだけなのですよ」
何も言い返せなくなり、歯がみをしていたら……。またっ、まただ……‼
俺の血圧を跳ね上げるような言葉が飛んできた。
「ですので僕は先ほど、否定すると口にした。そんな貴方では誰よりも幸せになどできないと、言わせていただいたのですよ」
「そっ、それは! 違うっ、違います!!」
誰よりも幸せにできないだって? まさか!! 冗談じゃない!!
シルヴィの『1番』は、ここにいる俺! ドニ・リートアルと決まっているんだ!!
「お言葉ですがっ!! ええ、認めましょう!! そちらに関しては、抜け落ちてしまっていたと認めましょう!! ですが問題点はそこだけっ、その部分だけがそうだっただけです!! 俺にはしっかりと、大きく太く強い、真の愛があって――」
「『決めつけ』、『強引』。これらが僅かでも含まれてしまった時点で、全ては独りよがりへと姿を変えてしまいます。そんなものは、真の愛とは呼べませんよ」
な……。
呆れ。ただただその感情だけを宿した瞳が、注がれた。
「相手の感情を無視して進む道に、大きな幸せが待っているはずがありません。その先にあるのは、人生の崩壊と破滅。自身だけではなく強引に引っ張った相手までもを巻き込み、多くのものを失ってしまうのですよ」
「ちっ、違うっ! だから違う!! 幼馴染の俺は正しい道を知っている!! シルヴィは分かっていないからっ、手を取って導こうとしているだけなんだ!! ラファエル様っ!! シルヴィを想うならっ、手を引き俺に任せていただきた――」
「想っているからこそ、引けません。シルヴィ様自身が拒否をされている、理不尽な貴方様になど任せられませんよ」
その言葉を、切っ掛けとにして……。目の色が、完全に変わった。
さっきまでたっぷりとあった呆れは全てが消え去り、瞳には大きな怒りだけが宿るようになって――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます