第4話

しばらく走ると、やがて二人の背中が見えた。

二人は前後に並んで歩いていた。

小暮は立ち止まり、音をたてないようにとゆっくりと二人について行った。

しかし小暮の歩みが遅いため、一向に二人に近づくことができない。

むしろ少しずつその距離が離れている。

かといって早く歩けば二人に気づかれてしまう。

一対二ではさすがに分が悪い。

――どうしたものか。

考えたが、今はどうすることもできない。

小暮はそのまま二人の後をつけた。

しばらくその状態が続いたが、やがて二人がふと立ち止まった。

小暮はとっさに木の陰に身を隠した。

そこから様子をうかがっていると、二人は立ち止まって何かを話していたようだが、やがて振り返り、ことらに向かって歩き出した。

――なんだあ?

小暮は考えた。

そしておそらく小暮が殺した魚人がいつまでたっても来ないので、様子を見に引き返したのではないかと推測した。

二人はもうすぐ隠れている小暮の前を通過する。

あの魚人の死体が見つかってはまずい。

小暮は決意し、二人が小暮の前を通り過ぎた途端、素早く一人の後ろに移動した。

そして枝を背中に突きたてた。

枝は魚人の背中を貫いた。

そして枝を抜くと、ようやく前にいた魚人が気付いて振り返った。

小暮はかまわず魚人の胸に飛び込んだ。

枝を前方に突き出したままで。

小暮が一息つき見ると、二人は血を流しながら地面に倒れていた。

しばらく様子を見たが、全く動かない。

二人ともどうやら死んだようだ。

――あと六人だ。

小暮は自分の中から恐怖心が消え去っていることに気がついた。

あるのは純粋な闘争心のみのようだ。

やってやる。

なにがなんでもやってやる。

たとえ相手が何人いようとも皆殺しにしてやる。

待っていろ、化け物どもめ。

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