第19話 フレンズ

風、咲 風の母美枝子 咲の母和美は、車で風の家まで戻った。

家では、風の父 横山和彦と 咲の父 上杉まことが待っていた。

上杉真は、咲を見るなり「咲〜どうしてそんな事したんだ!」と感情を抑えては、いるものの溢れでていた。

風の父は、「まあまあ上杉さん、さっき怒らないって約束したじゃないですか」と宥めたなだめた

上杉真は、銀行員であった。

仕事の責任感も手伝い万引きなど到底ゆるせるものではなかった。

風の父は、昨年 咲がバンドを脱退したことも知っていて、風の彼女の事などから、おおよその察しをつけており、言葉で説明はしなかったが、上杉真に叱らないでやってくれとお願いしてあった。

咲の母 和美は、「咲、どうしてなの?お小遣いあげてるじゃない 教えて?」

今度は、風の母 美枝子が、待ってと言う仕草をし 制した。

咲は、まだ涙が完全に止まった訳ではなかった。

咲は、大人4人の〝裁判官〟の前にいるようで

いたたまれなかった。

ふら〜っと工場の方へ歩きだした。

風が後を追う。

追いかけようとした上杉夫妻を横山夫妻がとめた。

工場にある〝キャンディ〟のためのスペースまでいくと咲は座りこんで、また大泣きを始めた。

風は、しゃがんで咲の目線にあわせたが、

〝どうして?〟とは聞かなかった。

只 一緒にいた。

やや暫くして、涙声で咲は話始めた。

「昨日ね、ベストテンでレベッカってバンドの

〝フレンズ〟って曲聴いたの そしたらね

涙出てきちゃって、風と私いつから壊れちゃったんだろう?って今の自分が情けなくて、バンドやってだ時は輝いてたのに、また歌いたいなって

〝フレンズ〟歌いたいなって、

でね、風と仲直りしたかったんだけど

なんか持ってかなきゃって‥

あたしなりに、あたし〝汚れけがれちゃったから‥‥」

風はその言葉を聞いて思わず咲の手を取り

「咲、またバンドやろう!〝フレンズ〟って曲やろう歌ってくれ!一か月くれみんなでコピーするから!」

そう言う風も泣いていた。

2人は暫く涙にくれた。

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