第18話 ギターの弦
1985年 12月20日金曜日
風と有村由美は、風の家の工場にいた。
風のギターを聴く為である。
由美にとっては、夢のような時間である。
いくら風の心が咲に向いていようとも。
バンド〝キャンディ〟の練習は続いていた。
冬の時代を1年も続けていたが、風 良 サギは
辛抱強かった。
平日の夕方17時過ぎ、工場の事務所の電話が鳴った。
電話を取ったのは、風の母 横山美枝子だった。
「はい、横山金属工業です え?上杉和美さん?
え〜まだいますが、え⁈警察!」
美枝子と和美は、顔を見合わせた。
和美は、慌てて電話にでた。
「はい、咲の母ですが!え?万引き⁈八千代警察署ですね!わかりましたすぐいきます!」
和美は咲が万引きで警察に捕まった事を美枝子に伝えた。
騒ぎに気づき、風と由美もその事を聞いていた。
美枝子は、「それは、大変!和美さん車で送るわ」
そう言って2人は慌てて支度をした。
その様子を見ていた風は、顔色を変えていた。
由美はそれを見て、「横山くん!行って!咲さん気になるんでしょ!私は大丈夫 状況がわかったら教えてね!」
風は確かに気になって仕方なかった。
「ごめん」そう言って母達の後を追って車に乗り込んだ。
美枝子が運転する車の中で、咲の母 和美は
「八千代台のレコード店で万引きしたらしいのよ!
どうもギターの弦を!それでねタバコも持っていたから、警察に連れて行かれたらしの!」
風は〝ギターの弦〟⁈と聞いてビックリした。
ギターの弦を必要とするのは、咲の周りで風くらいのものであろう。
警察に着くと、和美は飛び降りて、走って警察の中に入って行った。
和美が案内され、咲のいる部屋にはいると、
咲は、心ここに在らずといった様子であった。
目はうつろで、黙って部屋の隅を見つめている。
和美は、咲に「咲!どうして!」と声を掛けるが
咲は、チラッと見ただけで反応しない。
車の中
美枝子と風は、待っていた。
美枝子は、「ギターの弦って風の為に万引きしたのかな〜」
風は黙っていた。
只黙って咲の事を考えていた。
2時間くらい、たったであろうか?
咲と和美が、警察署からでてきた。
車に2人が乗り込もうとすると、咲は風が乗っている事に気づく。
咲は風の顔をみたら、殺していた感情が溢れでてきた。
大泣きである。
美枝子、和美は、咲の身体を抱きしめ慰めた。
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