第8話 少女A
8月も半ばになり、夏休みも後半にはいろうとしていた。
風は、塾の夏期講習やら、家の工場でのアルバイトやらと忙しい毎日を送っていた。
工場でのアルバイトは、一番下っ端で今年高校を出て入社した 大介さんの手伝いが
夏の工場は暑さが半端ではなく、また、親父も
只、大介さんは優しかった。
東北出身で残っている
ほのぼのさせてくれた。
そんな金曜日の夕方 有村由美から電話があった。
〝れいこうどう〟に行って以来 風の忙しさも手伝って
母 美枝子に呼び出され電話に出る。
「久しぶり」『久しぶり』と由美も返す。
『横山君、明日お祭りでしょ 一緒にいかない?』
そんな由美の誘いだった。
「うん、いいよ 俺もたまには、息抜きしたかったんだ、ほらバイトと塾で」
そんな言い訳らしい事を言って由美と遊ばない理由にした。
家族も側にいたので、セブンイレブンに夕方5時に待ち合わせとだけ決めて早々に電話を切った。
夕方5時 セブンイレブン
風が自転車でセブンイレブンに着くとそこには、
浴衣姿で髪を結っている 有村由美が待っていた。
風は、恥ずかしくなった。
その理由は、由美が可愛いかったからである。
その由美とカップルとして、祭りの会場に現れるのが恥ずかしかった。
由美は、徒歩できていた。
「久しぶり」「久しぶり」と会話をかわし
「乗せて」という由美の言葉にリードされ、
2人乗りで5分程の会場の公園に向かった。
腰に後部席の由美の手が巻かれる。
風は、ドキっとして思わず振り返ったが
一心不乱に自転車をこいだ。
祭りの会場に着くと盆踊りの音楽がながれ
出店も30店舗以上出て沢山の人で賑わっていた。
風と由美は自転車を停めて、人だかりの中へ
溶け込んでいった。
金魚スクイ、じゃがバターと2人はお祭りを楽しんだ。
由美がフランクフルトが食べたいというので
少し離れた場所に由美を待たせ風は列に並んだ。
一人前は、紫のスカートに赤いtシャツ茶色の髪
明らかにツッパリの女の子がいた。
横顔がチラッと見えた。
咲だった!
風は「咲!」と思わず大声をあげてしまった。
咲は振り向き風と気づくと、一瞬満面の笑顔になったが、すぐにつまらなそうな顔を作った。
風は「咲も来ていたのか?」
と話かけるが相手にされない。
咲は周りを見渡し、すぐに浴衣姿の由美に気づき
唇をとんがらした。
「ふ〜ん由美ちゃん可愛いね、お姫様みたいだね
熱い、熱い」と言いそっぽ向いてしまった。
風は思わず咲の肩に手を掛け
「咲〜」とその瞬間
咲は「触らないで!」と手に持っていた全てのものを地面にたたきつけた!
周りにいた人たちの注目を浴びた。
離れた場所にいた金髪の山田先輩が怒りをあらわにし近づいてきてきた。
それに気づいた咲は列を離れ山田先輩と腕を組み
引っ張ってその場を離れた。
その場に風はたちつくした。
東京音頭が流れている。
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