第7話 リターントウフォーエバー

翌日、朝9時にセブンイレブンで、風と有村由美は、待ち合わせをした。

風は自転車で8時50分には、到着したが、

由美も自転車で既にいて、セブンイレブンのガラスに写る自分の髪を直していて、風にはすぐに

気づかなかった。

自転車には、不釣り合いな、白のフリルの付いた

ワンピースという姿で、由美も多分初デートであろう緊張しているようであった。

「やあ」風は、それ以外の言葉がすぐにみつからず

2人は、照れ笑いをしばらく続けた。

八千代台まで自転車で15分程の距離だった。

風は、「〝れいこうどう〟だっけ、いこうか?」

と促すと由美は「うん」とだけ返して      風のエスコートを待った。

2人は、自転車で八千代台まで移動した。

途中、車との距離がかなり近い道では風は、由美が事故にあわないようかなり気を使った。

〝れいこうどう〟でレコードを借り、      カセットテープに録音し聴く 中学生や高校生にとって アルバム1枚3000円はなかなか手がでなく

よっぽど好きなアーティストでない限りレンタルで

すましていた。

八千代台に到着し、ユアエルムの向かいにある

小さなレンタルレコード店が〝れいこうどう〟である。

〝れいこうどう〟のオープンは10時からだったので

ユアエルムで暫くしば時間を潰した。

アクセサリーや洋服をウィンドウショッピングしていたが、風は楽しくて咲のことを忘れてしまうくらいだった。

10時をかなり回っていたが、〝れいこうどう〟に2人は入った。

由美の今日のお目当ては、〝ザ・スミス〟という

イギリスの新人バンドらしい。

風は〝ザ・スミス〟のことは知らず、由美の洋楽の

アンテナに関心するばかりであった。

中に2人ではいり、やや暫くして由美が肩を突き

指差した 先には キツネ目の男 山倉げん先輩がいた。

2人は、何借りにきたのか噂話をコソコソした。

横浜銀蝿と主張する風と矢沢永吉と主張する由美で

意見がわかれた。

風は、ちょっといってくると由美に告げ

玄先輩の方へ向かった。

「玄先輩!チワッス」そう風が挨拶すると

玄は一瞬嫌な顔をした。まずいところを見られたってとこだろうか?

風は、「何借りに来たんすか?」と半ばなか強引に玄の持っているレコードを見ると

チックコリア リターントウフォーエバーとあった。

「なんすか?これ?」と聞く風に玄は

「ジャス・フュージョンだよ 子供には関係ない!」

そう言ってレジの方へ向かった。

玄は、ふと振り返り

「風 知ってるか?咲ちゃんだっけ?山田先輩たちと連んでつるるぞ いいのかよ?」

風は、「いいも何も‥」言葉に詰まってしまった。

「ふん、そのうち抱かれちゃうぞ」

そう捨て台詞を吐き行ってしまった。

〝抱かれちゃうぞ〟

その言葉がガラスの先端が胸に刺さったかのように 風を痛めつけた。

その言葉は、身体中を巡り幾度となく風の中で

響いた。


由美は、お目当てのレコードを借り、2人は

マクドナルドで昼食をすませた。

さっきの言葉が風の身体から離れず

由美からは「どうしたの?」と幾度となくきかれた。

初デートは盛り上がりにかけ、

早々に家路についた。

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