梅田四人衆と男子5人の内面変化、燈子たちの奮闘
ジョニーの父ジョブズが、「息子が通学中に、増水したテムズ川に流された‼」と睦月や美子たちのところへ走って来て、地面に座り込んだ。
「俺たち、あいつを殴りながら笑ってた。会ったら謝りたい」美子と森子が「うちらも、温泉小の同級生を階段から落とそうとしたことを恥じとる。一緒に探すから」と5人に言い、テムズ川へと向かった。
燈子と濃い茶色の短髪に青い目の男性警備員が、ロープを川の中に入れて30代の男性と5歳の男の子を引き上げようとしている。男性は道路へと上がって来たが、男の子は流されそうになりながら柵に摑まっている。
燈子が川の中へと潜り、「ロープをつかみながら進んで」と男の子に声をかけて一緒に泳ぐ。道路に上がると、男の子は父親へと駆け寄った。
「ありがとうございます」男性は燈子にタオルを渡し、深く頭を下げた。燈子は敬礼をし、男性警備員と一緒にロープを持って倉庫内へと向かった。
元源泉中の国語教師で、ロンドンに来て救助隊員になった40代の女性も陽太やウィリアムたちとテムズ川に入り、ゴムボートに乗せた小中学生や高校生たちを『young flowers』の1階で休ませていた。
足の切り傷に包帯を巻いていると、タカユキが湯気の立つ抹茶が入ったカップを渡し「娘さんがあなたの救助活動をニュースで見て、驚いてるらしいで」と笑みを見せる。
「ロンドンから中継です。晴香ちゃん?」プラムがパソコンの画面に向かって呼びかけると晴香の顔が映り、母親を見て『……え⁉』と驚いた声を上げる。
「晴香。家にいる時はあなたに怒鳴ることが多かった。ごめんなさい。陽太さんたちと川や建物の中に入って救助活動をしてる」と娘に向かって言う。『お父さんと一緒に、ニュースで見てるよ』晴香が笑みを見せ、母に手を振った。
「プラムさん、ありがとうございます」「いえ。晴香ちゃんと話せてよかった」プラムはスコーンを女性に渡すと、ラジオ局入り口でトムと一緒に避難の呼びかけを始めた。
ジョニーはテムズ川内で防水リュックサックに摑まったまま、失神しかけていた。「ジョニー!ジョニー‼」亮介の声に目を開けると、大きな手で川から引き上げられ、毛布をかけられた。
「おった!」美子と森子、男子5人もジョニーに駆け寄り抱きしめる。「『ロンリー』って言いながら殴り、笑ってごめん」と言って号泣する5人。ジョニーが「うん」と答えた直後、亮介がテムズ川に落ちて流されていくのが見えた。
「ジョニー‼」父ジョブズが駆け寄って来て、息子を抱きしめる。ヒグマ使いのブロッサムがチャーチルに向かって笛を吹くと、太い丸太を折って倒し橋にした。
オータムが「ウォ――ン‼」と兄ウィリアムや美月たちに向かって遠吠えし、橋を渡り終えた。
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