子ども5人の救出と女性衛兵の学校生活
亮介と美月が広場でサンドウィッチを食べていると、目隠しをつけられた子ども5人がライブハウス内に監禁された。ウィンザー城の見回りを終えた女性衛兵二人が、冷や汗をかきながら座り込む。亮介と美月はブライアン、エドワードと一緒にライブハウスに入った。
亮介は小3の兄と小1の弟に「Are you all right?(大丈夫か?)」と小声で聞く。「はい!」と答えた二人を連れ、5歳と3歳、1歳の3人と手をつないだ美月とライブハウスの外に出ようとする。
3人の頭を打とうとした密猟者二人のバールを持っていたハンマーで粉砕し、エドワードが木でできた剣を腰に当てて失神させた。
通りに出ると、小3と小1の男子が「ありがとう」と亮介に嬉しそうな笑みを見せた。5歳と3歳、1歳の3人は美月の手を握りしめている。
ウィンザー城の階段に座って息子二人を見ていた女性衛兵が「ありがとうございました!」と号泣しながら亮介に頭を下げ、ノートとシャープペンシルを持って校内の2階へと向かった。
「子どもが号泣したり、床に座り込んでも殴ってはいけない」鷹野陽介が黒板の前に立ち、0~5歳までの息子や娘を持つ成人20人に向かって言う。「家での仕事中に3歳の娘に泣かれると、怒りたくなるんです」と20代女性。
「ボルダリングやランニング、散歩をしたり、日記を書くといい」陽介は20人に日記帳を渡し、笑みを見せた。
―――午後4時。1階で鷹野の授業を受け終えた女性衛兵は腰に万歩計をつけ、通りを歩きながらビッグベンを見つめる。シャーロットの店でイチゴとミカン入りのサンドイッチを買い、噴水を見ながら食べ終えた。
カフェ&バーで美月や直美たちとリーフパイやブルーベリーを食べている3人の子の、自宅では見せたことのない嬉しそうな顔に涙があふれ、立ち上がれなかった。
木曜日の授業はエドワード、ブライアンとローズガーデンに行き、ハチや鳥の写真を撮るというものだった。
濃いピンク色の花びらに止まってミツを足につけるハチを見ていると、「このバラは洪水でも流されず、花びらはハンドクリームになる」とブライアンが小声で言う。女性衛兵はリュックサックからカメラを出し、バラとハチの写真を撮り続けた。
広場では小3と小1の男子が、ポアロ、ベイリーと一緒に亮介の広場ライブを見ながら満面の笑みを見せていた。銀の髪に赤と銀の目を持つ男性として歌うアニメの曲『Clap Hands‼』が流れている。
小3男子が熱唱し終えた亮介に駆け寄り、ヒグマが描かれた日記帳を渡すとサインを書いてくれた。
「ありがとう」と言い、亮介は二人を抱きしめる。「広場ライブ、見に行きます‼」と大声で答えて手を振り、弟と一緒にダニエルのケーキ屋へと向かった。
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