オータムの日課
僕はチェコスロバキアン・ウルフドッグのオータム。篠崎燈子さんや救急隊員の室根陽太さんたちと川や建物内での救出活動に参加し、睦月さんのカクテル店やアジの干物が好物で黒髪の日本人男性、アジさんの美容院がある大通りからジョニーたちが通う学校の校門まで走り切っている。
夜にはラジオ局『young flowers』の1階でメスのシベリアンハスキー、ポピーやルリコンゴウインコのクロエと一緒に音楽を聴きながら、親とその交際・同居相手に蹴られたり暴言を吐かれた経験を持つ子どもたちの心のケアをする。
―――木曜日の昼。広場内で亮介さんが首の後ろに銃とナイフの刺青を入れた灰色の髪で56歳の梅本誠一の襟をつかみ、「UKで会うとはなあ!あぁ⁉」と低く凄みのある声で30代の3人も震え上がらせている。
激高している亮介さんの前に座り、オレンジ色の目で見つめると誠一の襟を離し、広場に置かれているパイプ椅子に座り込んだ。
誠一が「夢に60歳で死んだ女房の泰子がヨウムになって出て来て、『田原夫妻に謝らなアカン‼』と怒鳴られたんや。すまんかった」と言って亮介さんと美月さんに深く頭を下げてから、手袋やベスト、シャツなどを売る店の2階へと入っていった。
「亮介、4人はあの店の従業員なんだ。誠一さんが縫う手袋やベストは、ロンドンの人にとって欠かせない」
睦月さんが小声で言った時、「ロンリー、ロンリー‼」と笑う声がジョニーたちの教室から聞こえてきた。亮介さんが「おい。ジョニーを殴るな‼」と怒鳴ると、教室内が静まり返った。
―――夜8時。クロエや梅本家のオスのヨウム、大福と一緒に通りの見回りをしていると、ひざと腕から血を流している8歳の女の子が「オータム!」と小声で言い僕の茶色い毛をなでた。彼女は49歳の父親と34歳で交際相手の女性から蹴られ、通りで過ごすことが多い。
「痛そうやな、そのひざ。どないした?」クロエが女の子の肩をくちばしでつついて聞くと、「お父さんの交際相手に蹴られた」と答えた。「またかい!」と激怒するクロエ。
ラジオ局『young flowers』の一員でベージュの髪と濃い緑の目を持つ女性、プラム・ジュラーイが号泣し始めた女の子に駆け寄り抱きしめる。
プラムは女の子のひざに包帯を巻き、「放送、いつも聞いてくれてるってトム局長が言ってた。ありがとう」と笑みを見せた。
女の子の父とその交際相手の悲鳴が聞こえ、家の前を見るとメスのボア・コンストリクターで警察官のジョリーがオレンジ色に変わった目で二人を見つめていた。
ジョリーは尾で真っ青な顔になっている二人をつかみ、酒樽に激突、失神させて手錠をかける。二人は79歳と64歳になるまで刑務所から出られないことになった。
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