直美と裕福な11歳男子、ゴージャス
直美は学校でジョニーや他の同級生たちと英語の勉強を終え、通りの抹茶カフェに向かっていた。紫とオレンジ色の短髪で、純金のネックレスを首から下げている大柄な11歳の男子『ゴージャス』が彼女に顔を近づけ、通りの前に置かれているバケツに入った水色のペンキをかける。
ゴージャスは全身水色になった直美に向かって「緑の服の日本人!鎌倉に帰れ‼」と大声で言い、帰って行った。
「ペンキまみれになっちゃった」同級生たちが慌てて直美に駆け寄り、お湯で温めたタオルを渡す。「ありがとう」と言って顔や腕を拭き、ペンキを落とし終えた。
「直美。ゴージャスはロンドンでも裕福な家の出身で、留学生や学校に行けず過ごしている子を蹴り倒す時もある。俺も校内や通りで会った時、何回も蹴られた」
マラソン部で一緒に英語を勉強している茶色い短髪に青い目の17歳、レオナルドが抹茶カフェのドアを開け、直美たちの後から中に入る。
「こんにちは、アリシアさん」「直美ちゃん。レオやジョニーたちと英語の暗記をしてるって、ブライト先生から聞いた。この席空いてるよ」「ありがとうございます」
白いペンキが塗られた木の椅子に座ると、薄い緑とベージュのエプロンとベストを着た店員のオリヴィアとアメリカ人女性のベル・ニューヨークが「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます」と直美たちの前に木製のフォークやスプーン、スコーンやケーキを乗せた皿を置く。
ミカンの皮入り抹茶スコーンを食べ、「うーん♡」と満面の笑みを見せるアリシア。「アリシアさんはラジオ放送後に毎週このカフェに来て、ソフトクリームやパンなどを食べてるのよ」ベルが茶色い瞳で直美たちを見ながら、嬉しそうに言った。
「おいしかったね」「うん」抹茶カフェを出て広場に行くと、30代の女性『赤ワイン』がアレックスに近づき、バールで殴ろうとしているのが見えた。
「アレックス‼」と叫び彼を芝生に隠れさせた直美の肩を、笑いながらバールで殴打する赤ワイン。失神し広場に倒れ込む直美の手をジョニーが握り、レオナルドが「亮介さんと美月さん、男性警備員のゾマーさんを呼んでくる!」と絶叫しながら大通りへと走って行った。
息を切らしながらベーコンとキュウリ入りサンドウィッチを食べている二人の肩をたたき、「亮介さん、美月さん。直美が『赤ワイン』に失神させられ、広場の階段前に倒れています!」と言い地面に座り込んだ。
「わかった。知らせてくれてありがとう」ゾマーはみそ汁を飲み終えると、ウィリアムを連れて亮介や美月たちと広場に向かった。
亮介と美月は階段前に倒れている娘に駆け寄り、肩をたたきながら「直美!」と呼びかけるが、ぴくりとも動かない。『赤ワイン』は大声で笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます