ロンドンでの『ビーヘイバー』はラジオ番組参加
2階建てのラジオ局『Young Flowers』の1階で小型ラジオの形になりブブブブブ、と羽音を立てる100匹のオオスズメバチに、あ然とする亮介と美月。
「ロンドンでの『ビーヘイバー』はラジオ局『Young flowers』で司会体験」と睦月が亮介と美月に言い、20人の小中学生と高校生にリングノートとボールペンを渡す。
『おはようございます。2月9日の『Young flowers』特集では養蜂家のエドワード・ビーキーパー・ホーニッヒさんとお話しします』元温泉小3年1組の池中要一が、ベージュの短髪に青い目のイギリス人男性の正面に座る。
「司会の池中要一です」「エドワードだ」要一に一礼し、濃いオレンジ色のハチミツが入ったビンを机の上に置くエドワード。
「何年前から作ってるんですか?」「2018年からだね。昼の12時には完売する」「広場内で、ハチミツがかかったアイスクリームを買う人が多かったです」途切れることなく話し続け、8時15分になった。
「ありがとうございました」椅子にかかっていたダウンコートを着て雪かきに向かうエドワードに一礼し、1階に入る。睦月が「お疲れ様」と要一の肩に手を置き、湯気の立つ抹茶を渡してきた。
「温泉小にいた時は、人の顔を見て話せませんでした」要一はソファーに座り、亮介と美月に小声で言った。要一はパソコンで書いた記事で同級生だった佐田ひなたと松谷ひかりの弟と妹を号泣させ、他の19人と一緒に温泉小から転校させられた。
「『Young Flowers』で睦月さんやローズさんたちと司会をするようになって、人と話すのが好きになってきたんです」破顔一笑する要一に「松谷と佐田
は銭湯高校でベーグルを作ってるぞ」と亮介が言い、写真を見せる。
ブルーベリーとミカン入りサンドウィッチを売り終えたイギリス人のシャーロットと23歳の女性従業員が、通りで睦月と要一に向かって手を振っているのが見えた。
―――午後6時。足が茶色く腫れ上がった3歳の女の子が広場で号泣し、21歳の母をシャーロットの相棒で茶色く太い体を持つデンキウナギのウィリスが感電させた。
女の子はロンドン警察署内でメスのシベリアンハスキー・ポピーに顔をなめられ、嬉しそうな笑みを見せる。
茶色の短髪で救助隊員の室根陽太が女の子の足に包帯を巻き終え、ビッグベンが描かれた赤い缶からバニラとブルーベリー入りのクッキーを出して渡した。
「子どもがいても、交際相手と同居する親が多い!」テムズ川の清掃を終えたホホジロザメのヘレナが大声で言い、デンキウナギのウィリスが「女の子は救急車内にいるが、歩けるようになるまで4週間かかるらしい。母親は交際相手で50歳の男と、通りで失神している」と答えた。
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