ローズの熱唱とラジオ局『young flowers』


 私はロンドンのラジオ局『young flowers』の一員、ローズ。首に着けているのは黒い糸でビッグベンが描かれた、淡い緑のバンダナ。広げるとタオルとしても使える。


 ―――朝8時。『young flowers』の1階で黒ベーコンとレタス入りのサンドウィッチを食べていると、メンバーの一人で肩までの黒髪を緑のリボンで結んでいる18歳のアリシアが「おはようございます」と笑みを見せた。

 「おはようアリシア。今日はロンドンを旅行中の日本人4人が来るって」「はい」茶色い髪をバンダナで結び、アリシアと一緒に2階へ向かう。

 

 「お入りください」とトムが言うとドアが開き、黒い短髪で明るい茶色のコートを着た男性と背中まである茶髪に白いコートと灰色のブーツ姿の女性、黒髪で緑色のベストと白いブーツの女の子と色鉛筆やスケッチブックを持った男性が「よろしく」と言ってパイプ椅子に座った。


 「田原亮介です。鎌倉でロックバンド『紫いもタルト』のドラマー・ヴォーカルとして活動しています」

 「島原勇樹。『紫いもタルト』のペインターで、ライブでは2本の筆や24本の色鉛筆、ペンキやスケッチブックなどを使い絵を描いています」と言って、亮介さんと勇樹さんがドラムとスケッチブックが描かれた名刺をトムと私に渡す。

 「ローズです。ロンドンの学校の子どもたちも、勇樹さんの絵を見て喜んでいます」と私が笑みを見せると、トムが美月さんにマイクを向けた。


 「亮介の妻、美月です。ファンからは『歌姫』と呼ばれることが多く、小中学生や高校生が聴いている曲について書いた『リート新聞』も発行しています」

 「『リート新聞』は、ロンドンの学校内でも人気なんですよ」とトムが言うと、彼の肩に止まっていた濃い青色の羽を持つオスのインコ・マカロンが直美のほおをくちばしでつつき始めた。

 「マカロン!」トムが小声で注意したが、直美は満面の笑みを浮かべて羽をなでながら「家では1日20冊読んでいます」と私に言い、8時20分に放送が終わった。

 「直美さん、マカロンにつつかれた肩は平気ですか?」とトムが聞く。直美は「はい」と答えて大通りへと向かった。


 

 雪かきを終えたサラと恋人のドーン、源泉中で卓球を始めた佐々木アリアの父、ジェームズの弟で24歳のジーニアスはダニエルのケーキ屋でブルーベリーケーキとスコーンを食べながら紅茶を飲んでいた。

 

 「ソフィーが見つかったらしい」とドーンがスコーンをかじり小声で言った時、ソフィーが睦月と一緒に店内に入って来て「亮介さんやペインターの勇樹さんたちも探してくれてたって、パパやローズさんたちから聞きました。ごめんなさい」と3人に頭を下げた。

 「おかえり」ジーニアスとドーンがソフィーに笑みを見せた時

 


 

 




 

 

          


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