ソフィーの救出とアマンダの奮闘


 驚く亮介に、佑樹は「ローズさんやタカユキさんも、ソフィーちゃんのことを心配しています」と言って頭を下げる。

 「わかった」「ありがとうございます‼」二人は青色のリードをつけたオータムと一緒に大通りや寿司店の周りにも行ったが、ソフィーの姿はない。

 「見つからないな」「ええ。大通りのほうにいるかも」二人は広場で買ったイチゴ入りクッキーを食べ、湯気の立つ抹茶を飲んでから大通りへと入った。


 

 ―――夜8時。紺の短髪で22歳の日本人大学生ライスは大通りから聞こえてきたソフィーの『助けて‼』という絶叫に、クロエと大通りへ向かう。

 目隠しをされたソフィーと紫の車が見え、紺のスマホで動画を撮ってロンドン警察署に入った。 

 

 2時間後。賢哉がロンドン警察署に入ると、ライスが赤色のソファー席に座っていた。「ライス。どこでこの車を見た?」と賢哉。「大通りにある本屋の前です」と答え、ライスは自分のスマホを出す。4人の男たちに車に乗せられるソフィーを見て、エリックが泣き出した。

 「ソフィーがいるのは木材置き場だ」と賢哉が言い、エリック、アマンダとシャンプーを終えたオータムと木材置き場へ向かった。


 ソフィーはテントの中で睡眠薬を飲まされ、椅子に座ったまま眠っていた。金属製の板の上には枝を取った木材や木の棒が置かれている。

 エリックとアマンダがテントの中に入るとソフィーが起き、母親の姿を見て逃げようとする。4人の男がソフィーに向かって振り上げた木の棒やバールでアマンダは腕と肩を強打され、娘を抱きしめたまま床に倒れ込む。

「アマンダ!」エリックは娘に近づこうとした男の腰をブーツで打ち失神させ、肩が腫れ上がった妻をオータムの背中に乗せてテントを出てから娘と手をつないだ。


 3人が広場に入ると美月やローズ、睦月たちが駆け寄ってきた。タカユキとローズがソフィーに「おかえり」と笑みを見せ、抱きしめる。テント内で男たちから娘を守ったアマンダは肩と腕から出血している。

 「腫れ上がってるな。4週間は安静にしてないと」睦月が小声で言い、陽太がアマンダの腕と肩にリュックサックから出した包帯を巻く。

 エリックとソフィーはベンチに座り、ヒュージが淹れた湯気の立つ抹茶を飲む。通りから戻ってきた亮介と美月、佑樹もソフィーの姿を見てほっと息をついた。


 アマンダの肩には傷が残り、動かすと痛みが出ていた。ソフィーと一緒に広場でサラとドーンに会い、「サラ。暴言で嫌な気持ちにさせてごめんなさい」と謝った。

 「いえ。ソフィーが見つかってよかったです」と答え、サラはソフィーを抱きしめた。

 

 「この傷は一生治らないって、先生に言われたわ。ソフィー、ごめんなさい」アマンダはベンチに座って娘に謝り、タオルで涙を拭った。


 

 

        


        

 

 


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