伝奇:遊仙窟
さいとう みさき
漢語を見るに悩むモノ也
「遊仙窟」
寧州襄楽縣尉張文成作
若夫積石山者、在乎金城西南、河所經也。書云、導河積石、至于龍門。
即此山是也。
僕従汧隴、奉使河源。
嗟運命之邅、歎鄉関之渺邈。
張騫古跡、十萬里之波濤、伯禹遺跡、二千年之阪磴。
深谷帶地、鑿穿崖岸之形、高嶺口天、刀削崗巒之勢。
煙霞子細、泉石分明、實天上之霊奇、乃人間之妙絶。
目所不見、耳所不聞。日晩途遙、馬疲人乏。行至一所、險峻非常、向上則有青壁萬尋、直下則有碧潭千仞。
古老相傳云、此是神仙窟也。
人跡罕及、鳥路纔通。
毎有香果瓊枝、天衣錫鉢、自然浮出、不知従何而至。
余乃端仰一心、潔齋三日。
縁細葛、溯輕舟。
身體若飛、精霊似夢。
須臾之間、忽至松柏巌桃華澗。
香風觸地、光彩遍天。
見一女子向水側浣衣、余乃問曰、承聞此處有神仙窟宅。
故来伺候。
山川阻隔、疲頓異常、欲投娘子、片時停歇。賜惠交情、幸垂聽許。
女子答曰、兒家堂舍賤陋、供給単疏、亦恐不堪、終無吝惜。
余答曰、下官是客、觸事卑微、但避風塵、則為幸甚。
遂止余于門側草亭中、良久乃出。
余問曰、此誰家舍也。
女子答曰、此是崔女郎之舍耳。
余問曰、崔女郎何人也~
……うん、分かんねぇ!
そう俺が思っていると奴はやって来た。
「うーん、『遊仙窟』か、エロいなお前」
「はぁ? なんで俺がエロいんだよ?」
「お前、これどう言う物語か知ってるのか?」
「いや知らん。だがこれを課題提出しなきゃならないんだよ。こんな漢語わかる訳ねーってのにな」
「まあ聞け、俺の意訳でいいなら教えてやるぞ?」
「それは助かる。じゃあ頼む」
「うむ、それじゃぁ……」
* * * * *
我が名は張郎。
「張郎よ、行くのか?」
「ああ、
友は我を案ずるも行かねばならない。
我は故郷を後に目指すは黄河の
そして思ふ。
めんどくせぇと。
* * *
「ふむ、そこな
「何と? 我に
「Yes! 多分大変だよ、そんなあなたに
「
「
「だからいらねぇと拒絶するモノ也」
「だったらこいつだけも買って行くが
「むむっ、
「アイヤー、お客さん上手ね、今なら一箱買うともう一箱おまけアルよ!」
「ぬぅう、バラ売りならぬ箱買いとな。貴様も悪よのぉ」
「げへへへへ、お代官様にはかないませぬ」
我、安全を購入する也。
* * *
我、
「水源にまで
「
「
「イッツエクセレント! 気になるはまずは買う事が
「
「そう言うは損と知る
「いらねぇって言ってんだろう、我を束縛するは
「買うが
「何、桃源郷とな?」
「
「むぅ、では購入するしか道は無し」
「毎度アリ~」
我、桃を購入する也
* * *
道は険しく、我山岳を行くモノ也。
河は未だ汚ったねぇ泥水なる黄河の
されど我道に迷う。
霧が
それ
そして洞窟に
我そこへ足を
女人が水浴びをし、
木には実がたわわ。
女人の胸もたわわ
我近くの者に聞くモノ也。
「
「
「何と、それは
我
「
「
我美しき女人に連れられレッツフィーバー。
* * *
甘き
「我が名は崔十娘」
「我が名は王五嫂」
見るに美しき
女人たちは語るもの也。
「戦にて我が夫は帰らぬ者と成りけり」
「心
我チャーンス到来。
両の手、両の脚を合わせていざダイビング!!
我の
* * *
「
「我
我の時代
我無我夢中に
父上母上、我長きに渡る
いざ進まん、我が戦場へっ!!
されど
女人は場が
天
「お時間です、金千両になります」
「何と!
「お兄さん、払うもの払わないとただでは帰れないモノ
面には深き傷有、我が身体の二回り大きき事か。
我身ぐるみはがされそこを出る者也。
* * *
ちーん
* * * * *
「……おい」
「ん? なんだ??」
「本当にこれで合っているのか?」
「大丈夫だ、だいぶ意訳が入っているがストーリーは間違いない」
「いやしかし……」
「おや? もう課題が出来たかね? どれ」
「あっ! 教授それは……」
いかん、あんなの読まれたら怒られる……
「ふむ、君……」
「すいません! 真面目に書きますんで許してください!!」
「いや、これ完璧じゃないか! うん、これいいよ、君!」
そう言って教授はそのまま俺の課題を持って行ってしまった。
「いいのかよ、あんなので?」
「いいんじゃないか? 魯迅もいい加減な物語だと
「意訳かぁ」
「意訳だ」
「そうか、意訳なんだなぁ……」
俺の課題はこうして無事に提出が終わった。
まさしく「遊仙窟」の
伝奇:遊仙窟 さいとう みさき @saitoumisaki
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