Episode:6 戦闘開始
急いで門の外へ出ると、異質な
彼らがイリミスの言っていた者達なのだろう。
(遠目で見ても分かる…かなり強い…)
「来ましたね、
タイミングが良すぎるというのは、フィリヤ達との同盟関係を言っての事だろう。
反乱軍との協力関係を築いたそのすぐそばから攻め込んで来るとは、確かにタイミングが良すぎる。
「フィリヤさん達!……戦えますか…?」
恐る恐る、暗闇の中を覗く様な声で問う。
おそらく前方にいる彼らも、フィリヤ達を認識しただろう。
見晴らしの良い平原の奥から、高速で三人の戦士が突撃してくる。
スタッ、と地に足をつけて、こちらを観察する様子で見てくる。
彼らの後方にごく少数の兵士が見える。
恐らくは防御網を突破してきたのだろう。
(ハッキリ言って、勝てないわね…)
それぞれに緊張感が走る。
一触即発、少しでも動こうものなら戦闘開始、そう言わざるを得ない雰囲気が漂っていた。
「やぁ、こんにちは」
相手方の男が口を開く。
殺意剥き出しのクセに、声色だけはとても穏やかだ。
「えぇ、御機嫌よう。ご要件は?」
深く、言葉に敵意を込めてイリミスが言い放つ。
「アポイントメント無しで済まないね、……代わりと言っちゃあなんだが、…誰から死にたい?」
今度は言葉に気を込めて、言の葉で攻撃を仕掛けてくる。
戦闘開始、と判断したのか男の両脇の戦士達も武器に手をかける。
最前線に立っているのがファリア達とはいえ、敗北必死だろう。
「名を聞いてもいいか?」
ファリアが問う。
時間稼ぎだろうか、構えを解いて無防備な状態で問を投げかける。
「そうだな、君達の最期なんだ、それくらいサービスしてあげよう。僕の名はドューz」
蹴り。
地をえぐる程の脚力で飛翔し、急接近した後に繰り出される超光速の蹴り。
ファリアによる隙を突いた攻撃は相手に完全にヒットした。
「ドューゼル……北の諸国の大王様ね…君、戦時とはいえもう少し紳士的だったでしょう」
ヒラヒラと手首を回して、余裕有りげに言う。
一瞬、何が起こったか理解出来なかっただろうドューゼルの仲間達は、直様ファリアへと攻撃を仕掛ける。
一方の攻撃はファリアが防ぎ、逆側の攻撃はイリミスが防いでいた。
「ナイスキックですファリアさん!ですが…」
「あぁ、分かってるとも!倒しちゃいないさ!」
随分と遠くまで吹っ飛んだようだが、かなりピンピンした様子でドューゼルは起き上がる。
ヘラヘラとした様子だが、とうに油断など消え失せている。
ゆっくりと歩みを進め、ファリア達に近づいてくる。
その手には一本の剣、彼の伝承に由来する『聖剣』である。
「其の一振りは大地を切り裂き、此度は汝は切り裂こうぞ」
「不味い!」とファリアが叫ぶと同時、ドューゼルはその剣を振り下ろさんとし……
一本の槍がそれを防いだ。
直線上の先にはマルクスの姿があった。
「これは、神々を穿つ戦いである!我ら天への『反乱軍』!今、その力を示す時!」
彼の合図と共に兵士達は進軍する。
無論、個の力では叶うはずもないが、付かず離れずのヒット・アンド・アウェイで戦う。
マルクスが先陣を切ってドューゼルと対峙していた。
「私の名はクランノーだ。先程のように不意打ちされては敵わんからな」
「あら、ご丁寧にどうも。私はイリミスと申しますわ…、それでは手合わせ願えますでしょうか?」
「無論、殺す気で行くぞ」
「どうぞ、ご自由に」
互いに美しい少女の姿をしているが、手に握る剣はおびただしい魔力をまとっている。
一閃、また一閃と刃は交差する。
軽快な金属音を響かせて戦闘は続く。
実力は拮抗していて、さらにはお互い様子見を繰り返しているので、戦いに目立った進展はない。
幾度か刃を交え、一旦距離を取ってイリミスは呼吸を整える。
戦いはまだ始まったばかりだ。
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