Episode:5 作戦会議
ファリアが何より驚いたのは、フィリヤを除く誰一人として、イリミスの世界が滅んだという発言に驚いていないことだ。
フィリヤはというと、オーマイガーとでも口にしたそうな様子だ。
(知っていた…ということなのね。もしくは知らせていたというべきか……)
「一応…聞いておこうかしら?」
「どうぞ、貴方たちも…いや、あなた達だからこそ知っておく必要があるでしょう」
コホン、咳払いをしイリミスは語り始める。
「悪魔…あの騎士がそう呼んでいた存在が、この世界にも来ています」
あの騎士、とは鎧の騎士のことだろう。
フィリヤ達には彼女がなぜ、悪魔含むその存在の事を知っているのかが分からなかった。
「勿論、あなた達が出会った当人ではないでしょう。……彼らの事について詳しくは分かっていません。ただ、彼があの神々を召喚した存在であり、我々が倒すべき存在である事くらいでしょうか…」
悪魔…と呼ばれる存在が複数いることにフィリヤは驚きを隠せなかったが、なによりこれからもっと難しい話が始まるのだと思うと気が遠くなる。
だが、今回に限ってはフィリヤにも聞かなければならないことだとはっきり分かっていたため、なんとか意識を集中させる。
「この島が分かたれ戦争が始まった
「そうか…あの騎士は奴の事を、滅亡の原因たる悪魔とは言ってなかったな…」
「今はもう、その根源たる悪魔はいません。代わりに別の悪魔がいるわけですが、彼には直接世界を滅ぼす力はないでしょう。ゆったりと滅んでいく世界を、誰にも邪魔させず眺める。それが彼に与えられた仕事、ということでしょう」
世界に滅亡の種を振りまく、悪魔という存在に近づくことはできなかったが、大きな謎という意味で見ればかなりの進歩だろう。
すると、フィリヤがまっすぐと手を上げて言う。
「質問!イリミスはさ、なんでそのことを知ってるの?」
彼女がこの世界に現れたのは、崩壊の種が巻かれた後のことだ。
時系列的に考えるならば、彼女が事情を知っているのはおかしい。
それに、彼女はフィリヤ達のことも前から知っているような口ぶりだった。
「そういえば、言ってませんでしたね……フィリヤさん達はあの後直ぐにこの世界に来たと思っているでしょうが、本当はあれから数ヶ月は経っているのですよ」
始めは、何を言っているか分からなかったフィリヤだが、段々と意味を理解する。
フィリヤ達は、あのよく分からない空間の間で数ヶ月過ごしていたということになる。
しかも体感数十秒で。
オーマイガーとでもいいたげな顔だった。
「なるほど、キミはその間にこの世界に呼ばれたため、前提知識として私達のことを知ることができた、と」
「その通りです」とイリミスが言い、一先ず話は落ち着いた。
この後フィリヤに分かりやすく説明するターンがあったのだが、それはご愛嬌ということで。
さてさて、話が一段落したことで作戦会議の再開、ということになるのだが、あまり良い会議ができたかと言えばそうでもない。
ただ、交流を深めるという点で言えばかなりの成果を挙げれたことだろう。
取敢えずの方針を立てて、本日は解散…といったところで、事件は起きた。
バン!と大きな音を立てて扉が開かれる。
急いで走ってきたのか、扉を開けた兵は息も絶え絶えだったが、なんとか呼吸を整えて叫ぶ。
「敵が…奴らが攻めてきました!」
同時にフィリヤ達は巨大な魔力の反応を感じる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます