第4話
ソッと家の外に出ると人影は全く無かった。
隠れながら村を回ると、どの家も玄関の扉は開き人の気配がない。
隠れながら、隠れながら、集会所に向かうと並べられていたハズの死体が無くなっていた。
まるで何も無かったように、誰も居なかったように村は閑散としていた。
いや…… 村人だから分かる。
何かが引きづられた後…… いつもはされていない打ち水が村のあちこちにある。
引きづられた跡を追うと、畑を過ぎて林の中に……
そこに新しく積みあがった土の山があった。
「埋められたのか…… 」
アルフレッドの声は掠れて消えそうだった。
村の入り口には馬車が数台乗り入れた跡が残っていた。アルフレッドが乗せられた牢馬車や仲間が乗り付けた馬車が入ったんだろうと思い、馬車の中で泣いていた村の女の子の顔を思い出して俯いて謝った。
どこの家を探しても人はいなかった。
金目の物は消えていたが生活できる物は残っていた。日持ちしない野菜や乾燥肉が幾らか残っていたのも幸いだった。
「畑を…… しよう…… 」
村を出る事も考えたが、魔物がいるかもしれない街道を歩くのはアルフレッドには怖かった。
だから次の徴税員が来るまで村で暮らそうと考えた。
朝起きて、畑を耕し
昼は野菜を齧り
夜は見真似で野菜を煮ただけの汁をすすり、【未来視】の魔法の精度を高め集会所の本を読んでいった。
盗賊団が逃走した数日後に村に商人が来るのを【未来視】で見たが助けを乞わなかった。
また盗賊一味なら怖かったし、使い方がまだ分からないので死ぬか魔力切れまで【未来視】が解けない。もう拷問を受けたくないという思いから隠れて過ごした。
そして、それから1ヶ月ほどして徴税員ではなく騎士と3人の兵士が村を訪れた。
アルフレッドは隠れながらの来村を見て姿をあらわすのを決意する。
騎士の乗る馬に徴税員と同じ紋章があったからだ。
「すみません」
「…… 君は?」
ゆっくり歩きながら騎士に近づく。
「この村の生き残りです」
騎士の目を見ながら答えた。
[補足]
アルフレッドは【未来視】の
「おい!早く領主様に伝えるんだ!」
アルフレッドが村人が埋まる墓(・)に案内すると兵士達は農具を使い穴を掘った。何日か雨があり地面は固くなっていたが鍛えている兵士にしたら楽な仕事だったのだろう。
2時間もすれば腐った人の遺骸が現れた。
騎士の命令により兵士の1人が馬を賭け村を去ると騎士との面談となった。
「君の名は何という?」
「はい、アルフレッドと申します」
落ち着いて話すアルフレッドに騎士は眉を寄せた。まだ成人していない子供がこのような場にいて、これ程に落ち着いているとは…… しかし話を聞くと納得をした。
「アルフレッドは村で助けが来るまでどれほど待っていたのだ?」
「はい、一月以上は…… 待っていました」
アルフレッドは偶然に隠れていて助かった事、当日に商人と護衛が来村していた事…… そして翌日からの日々を話した。
「ではその商人が盗賊団であった可能性があるな」
「…… どうでしょうか?でも当日の夜まで居ましたし、翌日まで滞在すると話していました」
壮年の頃の騎士は眼を瞑り考えを巡らせる。
「なぜアルフレッドは助かったのだ?」
「え?」
「顔を見られていただろうし、話を聞くに商人と護衛の人相や声、服装をしかと話している。なら逆に相手からも確認されていた筈だ」
盗賊団が態々(わざわざ)と痕跡を消してまでして逃走したのに生存者を残す理由が分からないという。
「それは…… その…… 」
「アルフレッド、ぜひ言ってくれたまえ、どうして助かったのだ?」
アルフレッドは騎士なら魔法をよく知るだろう、ならば喋っても問題ないだろうという軽い気持ちで口を開けた。
「私は【未来視】という魔法が使えます」
その言葉を騎士は口の中で何度か反芻し顔色を変えアルフレッドを拘束した。
「アルフレッド、君は審問にかけられる」
「え!?審問?何ですかそれ!?」
「【未来視】とは恐ろしい魔法なのだよ、10年ほど前に死刑になった魔法使いが同じ魔法を使えたのだが国を大混乱に貶めた」
だから【未来視】を持つ者は審問にかけられる法が出来て、刑罰の対象となるという。
「ボクはそんな事しません!」
「すまないアルフレッド、青い未来視の魔法使いの関係者かもしれない同行願おう」
こうしてアルフレッドは護送されて村を出た。
「──────…… ふーん。未来視は言っちゃダメなのか」
アルフレッドはみらかを解除する方法をつい数日前に獲得していた。
【未来視】を解除してテーブルに指をコツコツと落としながら考える。
「よし、未来視は言わないで保護を受けよう」
アルフレッドはニッコリと微笑んだ。
[補足]
事件当日→数日後に商人が来村→隠れて1ヶ月の間に未来視解除の方法を得る→騎士来村
プロットを詰め込み過ぎてオーバーヒート!!!
出来るだけ早く終わる物語にしたいものです。
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