人生なるようにしかならない

生きながらに生き死の選択に迫られた夜

いや「迫られた」と言うのも烏滸がましい

生きるも死ぬも選択出来る自由があって

それを一方的にそう思ってるだけに過ぎない


どちらにせよ僕はそんな夜の住人だった

誰の声も嘘っぱちに聞こえて仕方なく

卑屈を拗らせ災厄振りまくトラブルメーカー

今でもあまり変わらないか


その癖鬱屈だけは人一倍抱え込み

花火にも成れない時限爆弾と添い寝して

もう笑い話にも出来ない笑い話

デジタルタトゥーと最近は言うようで


だから僕は死にたかった

そういう人間は必要ないと思ったから

「お前はあの子の人格を殺したんだ」

いつかの声が嫌に頭にこだましたから


それでも負ける訳にはいかなかった

なんでなのかはもう忘れた

いやそもそも理由なんてなかったのかもしれない

どちらにせよ今日まで僕は生きた


鬱屈を抱え込むのはもう辞めた

秋の木枯らしに冬の積雪を言い訳にするのも

変わるようにしか世界は変わらない

僕の事情と関係なしに世界は移ろう


どうせ僕の365日の1日だって人は知らない

それなのに居ぬ人の顔を気にしたって仕方ない

そういう鬱屈を丸めて伸ばして焼いてたら

それを知らない誰かが「美味しい」と頬張ってる


「人生なるようにしかならない」と人は言う

それが嘘だと信じて疑わなかった時もあった

けど今は本当にその通りだと思ってる

人生なるようにしかならない


それを「痛い」と嗤うならそれでいい

どうせ365日の歩みを知らない人に

この言葉の真意が伝わる訳がない

伝わる自分にだけ伝わればもうそれでいい

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