15話

 朝起きると、横には香澄の姿はなかった

「香澄、起きるの早いな」

 がちゃっ

「司くん起きてたんだ、残念だな~」

「香澄、何をしでかそうとした?」

「しでかすって酷くない、もうちょっと信用してよ」

 確かにな、前までなら大丈夫そうだったんだが。最近の行動を見ていると、何をしでかすかわからないタイミングが増えてきていた

「最近の行動を振り返ってみろよ」

「え~、だって、ずっと好きだった人と付き合えて、そして同棲だよ」

「結衣もいるけどな」

「そこは、いいの」

 あっ、そこはいいんだ。まぁ、香澄と結衣は気が合うみたいだしな、仲良くなってくれてよかったよ、本当に!!

「ご飯できたから食べよ、結衣ちゃんが待ってるよ」

「あぁ、わかった」

 香澄の手作りか・・・香澄がこの家に来てから、まぁまぁ時間が経ってるが、まだ慣れないな、めっちゃ楽しみだ

「どう、おいしい?」

 言うまでも無く、すごく美味しい

「さすがだね、お義姉ちゃん」

 どうやら、結衣のお義姉ちゃん呼びが定着しているようだ

「そうだな、こんなに美味しい料理が毎日食べられて、嬉しい限りだ」

「そんな、大げさだよ」

「大げさじゃないって、ねっ?お兄ちゃん」

「それぐらい美味しいってことだよ」

「ありがとうね」

 香澄が照れくさそうに笑顔で返してきた

「こちらこそだよ、いつもお世話になりっぱなしだし」

「そんなことないよ、私だって助けてもらってるし」

「はいはい、いちゃつくのは後でしてね」

 結衣が少し不機嫌そうだった、そんなにいちゃついてないと思うのだが

「だから、結衣ちゃんこれはいちゃついてるわけではないからね」

「本当かな~?」

「そうだって」

 あいかわらず、仲がいいな。この時間は最近の楽しみの一つになりつつある

「本当の姉妹みたいだな」

「でも、お兄ちゃん達が結婚したら、本当にそうなるね」

「もう、結衣ちゃんは気が早いよ」

「え〜、でもいずれはそうなるでしょ」

「はいはい、この話はここまで、ご飯が冷めるぞ」

「はーい」

 ご飯を食べ終え、片付けを始めた

「香澄、俺が洗うよ

「うん、ありがとう」

「そうだ、今日どこか行くか?」

「ん〜、それなら結衣ちゃんを誘って、服を見に行きませんか?」

「わかった、結衣に聞いてみるか」

「それなら、私が行きますよ」

「なら、よろしく」

「はい」

 結衣は香澄に誘われたのが、嬉しかったのか。さっきからずっとニコニコしている

「お兄ちゃん遅いよ、早く!」

「はいはい、香澄も居るんだからゆっくりな」

「はーい、お義姉ちゃん、手を繋ご?」

「いいですよ」

 香澄は結衣と手を繋いで、俺の手も握ってくれた

「ほら、司くんも行こ?」

「おう」

 三人でする買い物はすごく楽しかった・・・

「ねぇ、あれ見に行こうよ」

 結衣が指差した先には、水着が売ってあった

「ね?お義姉ちゃんの見てみようよ」

「でも・・・」

「お兄ちゃんの好みをおしえるから」

「はい、行きます」

 結衣、お前は何を香澄に教える気だ

「お兄ちゃんも、ちゃんと意見だしてよ?」

「当たり前だ、ここまで来たら腹を括るよ」

 香澄の水着姿が見たいからではないからな

「これはどうですか?」

「ん〜、いいとは思うんだけど」

「うん、お義姉ちゃんはもっと大人ぽい方がいいと思うよ」

 結衣が的確な指摘をしてくれた

「もう少し、探してくる」

 すぐに、次の水着を探しに行った

「香澄はどん何がいいとかあるか?」

「私は司くんに選んでみてほしいかな」

「結衣の方が、良いの選びそうだけど・・・」

「それでも、司くんに選んでほしいの」

「お兄ちゃんは女心がわかってないね」

 香澄も結衣の発言に頷いている、まぁ、そこまでいうなら、選んでみるか

「変なの来ても、文句は無しだからな」

「えっちなのは、ダメだよ」

「当たり前だ」

 結衣を少し睨んでから、探しに行った

「お義姉ちゃんどんなのがくると思う?」

「どうだろう、でも、楽しみ」

 お義姉ちゃん、かわいい、お兄ちゃんには勿体無いくらいだよ。

「ん〜、何が良いのだろう」

「お客さま、何かお探しですか?」

「彼女の水着を選ぶことになりまして」

「そういうことですか」

「はい、何かアドバイスとかありますか?」

「そうですね・・・」

 店員さんは良いことを思いついたようにハッとし

「悩んでもしょうがないですし、直感でいきましょう」

 案外適当な答えが帰ってきた

「直感ですか?」

「はい、これだってやつを直感でいきましょう」

 この人、投げやりになってないか?でも、参考にしてみよう、当たって砕けろの精神だな

「どれが良いかな・・・あつ、これが良いかも」

 あの直感でと言われたのが、だいぶ参考になった

「お兄ちゃん、決まった?」

「おう、決まったぞ、これはどうだ」

「なるほど、良いですね、さすが、私のお兄ちゃんです」

 結衣が素直に誉めてくれた、これは良いのでは

「お兄ちゃん、安心するには、まだ早いよ」

 そうだ、香澄がどう思うかが大切だ

「お姉ちゃん、これ」

 結衣が香澄に渡してくれた

「どうでしょうか」

 完璧とまでは行かないが、自分的には満足な感じだった

「私は、良いと思うよ」

「俺もそれが良いかもしれない」

「うん、司くん、選んでくれてありがとう」

「おう」

「私これにする」

 香澄は喜んでくれたみたいだ、よかった

「これでプールでも、海でも、行けるね。お兄ちゃん、期待してるね」

「あぁ、楽しみにしといてくれ」

「うん、楽しみにしておくね」

「たのしみ〜」

 香澄に喜んでもらえるように頑張ろう、これは母に相談だな、あの人なら、何か良いこと思いつくだろ、そりゃあ、自分でも頑張っては見るよ、

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