8話

 目を開けるとそこには知らない景色広がっていた

「ここは病院なんでここに居るんだ」

 そうか雛月さんをかばって、右手に温かみがあった手の方向を見ると雛月さんが俺の手を握ったまま泣き疲れたように寝ていた。そこに看護師さんが入ってきた

「目が覚めたんですね、ご家族の方に電話しますね」

「はい、お願いします」

 それにしても気持ち良さそうに寝ていた見た感じ軽症でよかった、自分は少し鍛えていたお陰なのか運がよかったのか今は体痛いだけだった。寝顔が可愛かったのでついほっぺたをつんつんしてしまった

「雛月さん危ない目に会わしてごめんね」

 そういい、頭をなでると

「えへへ」

 と嬉しそうに笑っていた、少したつと母さんと妹が着いたようだ勢いよくドアが開けられ泣きながら妹が抱きつこうとしてきた

「お兄ちゃんよがっだよ~~」

「こら怪我してるんだからそんな勢いでいったら悪化するでしょうが」

 母に止められていた、雛月さんが目が覚めたのか起き上がった俺を見ると目を見開き涙を浮かべて

「よかった、もう起きないかと思った、もう会えないかと思った、ほんとによかった」

 泣きながら抱きついていた、普通に少し痛かったが我慢した

「雛月さんそんなに泣かないで、ほら俺はこんなに元気なんだし」

「でも、私のせいで司くんがこんなことに」

「そんなことないよ、母さん雛月さんと話したいことがあるから二人にしてもらってもいい?」

「わかった、明日また来るね」

 そういい妹を連れて帰った、少しの間静かな空間が続いた

「ねぇ、雛月さん話を聞いてくれるかな」

「はい、わかりました」

 俺は起きてからも告白の返事について考えていた、自分の今までの行動を思い出していると少しずつわたってきたことがあった

「告白の返事がこんな時でごめんね」

「いえいえ、大丈夫です。嫌なら振ってくださってもいいですよ」

「うん、でも俺はそうしたくない俺は雛月さんが好きなんだと思う、いや好きなんだ階段の時もそうだ考える前に体が動いていた、俺なんかでよければ付き合って欲しい」

「はい、私も大好きです。司くんの彼女にしてください」

 そして、吸い込まれるように顔を近づけて唇を重ねた、それはまさに甘いひと時だった

「これからよろしくお願いしますね、司くん私のことは香澄と呼んでくださいね」

「ああ、わかったこれからよろしくな香澄」

「はい、ずっと一緒に居ましょうね」

「そうだな、一緒に居られるようにお互い頑張ろうな」

 付き合うことにはなったが俺の体がまだ完全に治っていないから当分外に遊びに行けないのは残念だ。

「体が完全に治ったら一緒にいっぱい出かけましょう」

「それなら、今からでもどこに行くか考えておこうよ」

「名案ですね、そうしましょう」

 どこに行くか今から楽しみだ、早く治さないといけないな

「これからが楽しみだな」

「はい、すごく楽しみです」

 この笑顔をなんとしても守っていこうと思った。

 *****

 少し早く退院できた母さんからは愛の力とからかわれた、あのときの話は香澄が嬉しくて話してしまったようだ。でも何を話そうとしていたかわかってたらしいが母おそるべし、今日から学校に行くので支度して家を出るとそこには

「おはようございます、司くん」

 笑顔な雛月さんがいた

「なんで雛月さんがここに」

「来てはダメでしたか、それに香澄って呼んで欲しいって言ったのに」

「つい癖でごめんな香澄気をつける」

「まぁ、いいでしょうそれよりこれからは一緒に学校まで行きましょうね。そうしたら一緒に居られる時間が長くなりますし」

 くっ可愛いやつめ俺をどうする気だ、幸せすぎてやばい

「そうだな一緒に学校までに行こうな」

「はい、うれしいです。欲張ってもいいなら手を繋ぎたいです」

「そんなことならいくらでもするよ」

 なんだろう、この子意外とぐいぐいくるな、嬉しいから別にいいけど

「本当ですか、最近は夢みたいなことばかり起きてます」

 少し不安そうに見えた

「ほらこうすれば夢じゃないってわかるでしょ」

 香澄の手を握りながらそう言った

「そうですね、夢なんかじゃなかったです」

 笑顔なって手を握り返してくれた 

「朝から何いちゃついてんの早く行かないと遅刻するよ」

 不機嫌そうな結衣の声が後ろから聞こえた

「いちゃついてなんかないですよ、そうですよね司くん」

 これは何て言えばいいんだ?香澄に賛同するべきなのか、でも嘘はだめだよな

「俺はいちゃついてると思ってたけど違うのか」

「えっ、あっ、でも、えっと、私もそう思ってました」

 顔を真っ赤に染めていた

「けっ、幸せに爆発して」 

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