第166話 グリークラブと音楽クラブの練習
練習は、グリークラブは舞台に立つ位置とかを決めるのに時間が掛かったみたいだけど、青葉祭でした演目なので、私が講堂についた時は終わっていた。
「音楽クラブの舞台設置は、これで良いな!」
グリークラブの伴奏の時は、オーケストラボックスとまでは行かないし、舞台の下だけど、音楽クラブの発表の時は、勿論舞台の上だ。
客席から一番近い所に指揮者台があり、その少し後ろにハノン、そして音楽クラブのメンバーが左右に分かれて座る。
その中央奥に、電飾が施されたコーラス台が設置される。
今日は、総稽古なので、魔石も入れてあるから、チカチカ輝いている。
「これは、凄いな!」
マークス部長は、電飾がついた段を見て驚いた。普段の練習の時は、魔石をセットしていなかったからね。
「錬金術クラブの協力があったからな」
その段の上にグリークラブのメンバーが乗る。
マーガレット王女やパリス王子は、音楽クラブの方だよ。
声のパートごとに分かれて段に乗ったら『歓喜の歌』から練習する。
なかなか素晴らしいと思うよ! 前世の年末を思い出しちゃった。
「次の『再会の歌』は、卒業生達にも歌詞カードとペンライトを配るのだ。皆は、歌詞は覚えているだろうから、ペンライトを振りながら歌って欲しい」
初めは、ペンライトを振る手が当たったりしていたけど、ダンスもするグリークラブだから、すぐに合わせる。
「良い演出だな!」
マークス部長にも好評で良かったよ。
音楽クラブの練習を終えたら、大教室にサミュエルが送ってくれた。というか、一緒に行ったんだ。
「遅くなっても良いと言われたから、体験コーナーに申し込んでいたんだ」
ダニエルやクラウスやバルディッシュも一緒だ。この音楽クラブの1年生メンバー、可愛くて好きだなぁ。
「遅くなってすみません!」
「いや、良いよ! さぁ、説明するから座ってくれ」
面倒は、ミハイルとマックスがみてくれた。
アルーシュ王子が錬金術にチャレンジしていたけど、上手くいかなかったみたい。
「ふむ、錬金術はまだまだだな。ほとんどブライスに作って貰った感じだな。だが、手伝って貰って何か掴めたか……まぁ、なんとなくだけだ」
アルーシュ王子は、魔力は十分だと思うけど?
「錬金術は、私の国の魔力の使い方とは全く違うのだ。まぁ、それを学ぶ為に留学しているのだがな」
カエサル部長も、魔法の違いについては興味があるみたい。
「バラク王国では、どのように魔力を使うのですか?」
アルーシュ王子は、肩を竦めて笑う。
「こちらは体内の魔力を使うみたいだが、我が国では大地や空気や水から魔力を貰って魔法を発動させるのだ」
へぇ! 凄く興味ある。
「それは、全く違いますね!」
全員が興味深々だ。
「南の大陸には竜がいるから、空気にも魔力が満ちているからな。こちらに来て、魔法を使うのが難しい」
へぇ、そうなんだ!
「竜!」錬金術クラブメンバー全員が、興奮している。
「でも、アルーシュ王子は、討伐でも魔法を使っておられたのに!」
一緒に行動していたベンジャミンやブライスが驚く。
「いや、全く魔法のキレが悪くて、あれがバラク王国の戦い方だと思われたら困る」
ふぅ、竜って巨大な魔力の塊なのかもね。
サミュエル達が、キックボードを作って、いちごチョコも作ったので、2回目の錬金術クラブの体験コーナーも終わりだ。
やはり男子学生は、いちごチョコをその場で食べちゃうね。
「ペイシェンス、このいちごはグレンジャー家の温室のだな! 凄く美味しい!」
はい、はい! また持って行くよ!
「これで2回目の体験コーナーも終わりだな」
カエサル部長の言葉に、全員が拍手する。
今回は、入部してくれる学生はいなかったけど、全員が『錬金術って面白い!』と思ってくれた。
「それに、男子学生は錬金術にチャレンジしてくれるようになった! 入部はしなくても、錬金術の垣根が低くなっていけば、やる意味がある!」
アーサーは、カエサル部長と共に錬金術クラブの廃部の危機を乗り越えたから、凄く嬉しそうだ。
さて、片付けなくてはね! 他のメンバーは重たい錬金釜を運んでいる。
「鍋に残ったチョコといちごで、作っても良いですか?」
多めにいちごを持ってきて貰ったし、チョコも残っている。
「良いさ! でも、食べたいな! 前のパーティのお土産は、母にほとんど食べられてしまったのだ」
ベンジャミンは、ずっと見ていたからね。あの、ほんわかとした侯爵夫人に食べられちゃったんだね。
残りのいちごを全部使って、皆と食べる。
「これは、本当に美味しいな! フレッシュないちごの甘酸っぱさと、チョコレートのほろ苦い甘さ! 凄く贅沢なスイーツだ」
ベンジャミン、凄く雄弁だね!
「ただ、これもチョコバナナと一緒で日持ちはしませんの。まぁ、乾燥させたいちごなら大丈夫でしょうけれど」
いちごをフリーズドライさせたのには、ホワイトチョコが合うと思う。
普通のチョコでも良いけど、私が好きだったのはホワイトチョコ。
でも、どうやったらホワイトチョコになるのか知らないんだよ!
これは、冬休みの宿題だね! ホワイトチョコができたら、チョコスプレーも作れる。あれがあると、バナナチョコに散らしても可愛いし、プチケーキにデコっても良いよね。
勿論、マーガレット王女とリュミエラ王女用に、箱に5つずつ入れて寮に持って帰る。
パーシバルが迎えに来てくれたから、一緒に帰ったよ。
「まぁ、美味しそうね!」
マーガレット王女とリュミエラ王女は、勉強中だったから、お茶にしようかと言ったけど断られた。
「これは、後で皆と食べましょう」
10個だけど、アルーシュ王子は食べたし、ザッシュは甘い物は苦手みたいで、体験コーナーでも作らなかった。
マーガレット王女、リュミエラ王女に持って来たいちごチョコは、夕食のデザートになったよ。
「ペイシェンス様、とても美味しいですね! パーティのお土産は、母が日曜のお茶会に使うと取り上げられたのです」
パーシバルは、気に入ったみたい。どこの家も母親が強権を発動したのかな?
「お気に召したのなら、また作りますわ」
2人で話していると、外野がうるさい。
「まぁ、ペイシェンスはパーシバルを甘やかすのね!」
いや、マーガレット王女も甘やかしているよ。
「そろそろ、
討伐から帰って、毎朝の運動を続けていたが、明日は休む!
だって、前ならダンスパーティなんか興味無かったから、ちょこっと踊って寮に戻っていたけど、今回はパーシバルと踊りたいんだ。
それに、サンダーにかなり慣れてきて、乗せはしないけど、手綱を持って移動させられるようなったからね。
放牧場まで連れて行って、勝手に走ってもらう予定。
オーディン王子が、それなら自分がと言いたそうだけど、パーシバルは素知らぬ顔で、私にコートを着せる。
「
ブラッシングしながら、言い聞かせる。
「ブヒヒヒン!」夜は来るのか?
「パーシー様は、夜は疲れているでしょうね」
それに、ダンスパーティが終わるまでいなきゃいけないだろうし。
「いえ、ダンスパーティも夕食には終わります。社交界のダンスパーティみたいに夜中まではしませんよ」
夜中まで! 体力持つかな? 前世では宵っぱりだったのに、9時に寝る健全な生活をしているからね。
「夜には来ます! だから、良い子にしているのよ」
大きな子どもができた気分だよ。でも、安心したのか、ブラッシングが気持ち良いのか、うとうとしているのを見ると、可愛いと感じてしまう。
「おやすみなさい」と言って、パーシバルと寮まで帰る。
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